2017 Fiscal Year Research-status Report
ビーチコーミング学の提唱と漂着物を活用した自然史教育リテラシー
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16K01002
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
鈴木 明彦 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (20235930)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 海岸漂着物 / ビーチコーミング / 自然史教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、北海道日本海側の複数の海岸において、毎月の試料採集を行った。本年は暖流系漂着物には乏しい年であったが、その原因を漂着物の解析から特定した。また、北海道の離島(奥尻・利尻・礼文)の打ち上げ貝類を継続して検討しており、打ち上げ貝の多様性と海洋環境との関連を考察した。また、北方地域の北海道との比較検討から、奄美群島の打ち上げ貝類も研究対象とし、南方地域での打ち上げ貝類の生物多様性についても検討した。 前年同様に大学で開講される授業で海岸漂着物を取り上げ、漂着物を活用した体験型環境教育を実施した。具体的には授業科目の「アカデミックスキル」、「地学実験」、「地質野外巡検」等で漂着物を教材として取り上げた。また、夏休みの免許更新講習では、化石に加えて漂着物を取り上げ、実践的な活用例を紹介した。そして環境教育支援教材の「北海道ビーチコーマーズガイド」(カラー印刷、30ページ立てガイドブック)に関するアンケート調査を行ない、今後の改善に役立てることにした。 さらに北海道の海ゴミに関するワークショップ「海ごみ・ポイ捨て防止大会」でコーディネーターを務め,ビーチコーミングに着目した環境教育の意義を紹介し、出席者のパネラーたちと多角的に議論をした。このほかには北海道教育大学公開講座や道民カレッジ:ちえりあ講座では、地球環境に関わる話題を提供したが、その折にはビーチコーミングを活用した環境教育の意義を市民に紹介した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一連の研究成果は学会で発表し、順次学会誌に公表した。特に日本列島における浮遊性巻貝類の漂着記録の分析は、海面水温上昇や暖流の強化を示す例として注目された。さらに前年度出版して好評であったビーチコーミングの入門書『北海道の海辺を歩くービーチコーミング学入門』(中西出版、2016)を、大学の授業科目のほか、講演会やワークショップでも活用した。「ビーチコーミング学」に基づいた自然体験活動は、学生のみならず現職教員にも好評で、それはアンケート結果にも反映されていた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は以下3点について、リテラシー評価、アウトリーチ、論文化を行なう。 (1)大学で開講される「アカデミックスキル」、「地質野外巡検」等で、海岸漂着物を活用した自然史教育リテラシーを実施する。リテラシー能力の評価では、学生への聞き取りやアンケートを行ない、複数年にわたる実施結果の分析を行なう。 (2)海岸漂着物を活用した自然史教育リテラシーの総括として、その結果を体験型アクティビティに反映させる。今年度のジオ・フェスティバル(札幌市青少年科学館)において、体験型アクティビティとして、「ビーチコーミング学」を公開・実演する。これらに関わる各種の消耗品を計上した。 (3)一連の研究成果を国内外の学会(国際古生物学会議IPC2018や漂着物学会)で発表し、主要部分を論文として学会誌に投稿する。そのための学会旅費や別刷代金を計上した。
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Causes of Carryover |
理由:消耗品代の残金が生じた。 使用計画:消耗品代として使用する。
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