2016 Fiscal Year Research-status Report
主体的な問題解決型の資料学習を可能にするシステムの開発とその教育効果の検証
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16K01007
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐藤 綾 群馬大学, 教育学部, 講師 (00611245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 淳一 群馬大学, 教育学部, 准教授 (90583922)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 理科教育 / 生物教育 / データセット / 探究的な活動 / 仮説検証 |
Outline of Annual Research Achievements |
理科では、実験を行うことが難しい内容を「資料学習」により学ぶ。現在の資料学習では、ある事象を説明する結果のみが示され、全員が同じようにそのデータを解析するため、探究の道筋が1つに制限されてしまう。本研究では、ある事象に関連する様々なデータを提示し、子どもがデータセットの中から自身が立てた仮説に沿ってデータを選択し解析する「主体的な資料学習」の方法を提案する。そして、その効果を検証することで、「子どもの主体的な問題解決能力の育成」に貢献する新しい資料学習のあり方を提供することを目的としている。 本年度は、主体的な資料学習を行うための教材となるデータセットの作成を行った。密度効果を学習内容として設定し、アズキマメゾウムシを用いた操作飼育実験を行うことで、生育密度と形質のデータセットを作成した。また、この教材を用い、集団の成長と集団サイズを題材とした仮説検証型の授業を設計した。そして、この授業を大学生を対象に実践した。授業では、独立変数を集団の個体密度に設定し、密度から影響を受ける従属変数を学生に自由に設定させることで、集団内の個体数がいつまでも増え続けない理由について仮説を立てさせた。そして、データセットを提示し、学生に自信がたてた仮説を検証、考察させる活動を行わせた。結果、本研究で提案する主体的な資料学習により、大学生の問題解決能力が高まること、資料学習であっても探究的な活動を行っている実感を持つことができることが明らかとなった。これらの結果を理科教育学会第55回関東支部大会にて発表することができた。以上のことから、データセットを用いた主体的な資料学習の効果を検討することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、データセット作成のための実験を終えることができた。また、それらを用いた授業実践を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
作成したデータセットを用いて、高等学校での授業実践を行う。また、中学校、小学校を対象とした教材を作成し、その効果を検証する。
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Causes of Carryover |
アズキゾウムシの飼育実験の始動に時間を要し、その他のデータセット作成のための実験を開始することができず、実験装置の購入が先延ばしになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データセット作成のために必要な実験機器の購入に充てる。
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