2017 Fiscal Year Research-status Report
無線ネットワーク接続型異状通報システムの開発とその組込み技術教育における評価
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16K01009
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
荻窪 光慈 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (00431726)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 産業・技術教育 / 教材開発 / 組込み技術 / 組込みシステム / マイコン / ネットワーク / インターネット / 無線通信 |
Outline of Annual Research Achievements |
組込み技術は我が国の豊かさの源泉である。組込み技術関連産業は、我が国の国内総生産(名目GDP)の13%程度、並びに輸出の過半数を占めており、まさに我が国の基幹産業である。組込み技術は、マイコンを含む電子回路等のハードウェアと、マイコンの動作を指令するプログラミングを含むソフトウェアから成る高度な統合的技術であるが、このようなマイコンや組込み技術の存在や働きは、従来、学術的に重視されておらず、一般社会でも認知されていない。特に、学校教育における取り扱いは、小学校・中学校・普通高校のいずれの学習指導要領においても圧倒的に不足している状態である。それ故、組込み技術を志す若者は少なく、組込み技術者は慢性的に不足しており、その育成が国家的な喫緊の課題である。 そこで本研究では、(1)「高機能なマイコンを活用したネットワーク接続型異状通報システムを開発し、本システムを題材とした最先端の組込み技術事例について、児童・生徒に体験的に学習させる組込み技術教材を開発すること」、(2)「開発した教材を活用して、学習効果を高める授業構成やカリキュラムを検討・構築すること」、を目的とする。これにより、児童・生徒が組込み技術に積極的に関与する態度が期待できるとともに、我が国のものづくり産業に積極的に関与する人材の育成に資することができると期待される。 平成29年度には、以下に示す各事項について実施した。 1.体験的学習のためのネットワーク接続型組込み技術教材の一例として、学校教育にて製作可能であることを念頭に置き、コストの優位性及び取扱いの平易性のあるマイコン及び無線通信モジュールを用いて異状通報システム等の開発を行った。 2.平成29年3月に告示された新中学校学習指導要領を念頭に置いて、特に新規学習事項に対応した組込み技術教育の学習可能性、並びに系統的な指導内容の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学校教育における製作及び活用を指向した無線ネットワーク接続型組込み技術教材の開発については、コストの優位性及び取扱いの平易性のあるマイコン、及び、無線LAN(いわゆるWiFi)通信規格に準拠した無線通信モジュールを用いて、簡単なセンサデータや、Web上から取得した各種データを、短文投稿サイトへの投稿や、電子メールでの送信といった手段でネットワーク外部へ通信可能な組込みシステムの基盤技術を確立した。 また、学習指導要領における組込み技術教育に関する教育題材の検討については、平成29年3月に告示された新中学校学習指導要領を特に念頭に置きながら、市販の組込み技術教材にはない特長を本研究に取り込むとともに、特に新規学習事項に関する事例調査等を進め、それらの組込み技術教育への適用等に関する知見が得られている。 以上のことから、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
学校教育における製作及び活用を指向した無線ネットワーク接続型組込み技術教材の開発については、従来活用してきたDIP(Dual In-line Package)タイプパッケージの32ビットマイコンに加えて、マイコンと無線LAN(いわゆるWiFi)通信機能が一体化されたコスト優位性のあるコンピュータボード互換のDIPタイプ無線通信モジュールを活用した教材開発を引き続き進める。特にWeb上からスクレイピング技術やWeb APIの活用等により情報を取得することにより、新たな応用事例が開拓できるものと考えられる。 また、組込み技術教育に関する教育題材の検討については、平成29年3月に告示された新中学校学習指導要領に対応して、特に新規学習事項に対応した、組込み技術教育を適用した教育場面や活用事例等の検討を進めながら、具体的実践を念頭に置いたカリキュラムの構築を進める。 さらに、近年、組込み技術教育において活用可能と考えられるコストの優位性及び取扱いの平易性のあるコンピュータボードの種類が増えているため、これらを含めて、本研究課題への適用可能性を考慮していく。
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Causes of Carryover |
(理由)研究会と学内業務の日程等が重複し、研究会への出張が出来ない等、旅費使用等に当初見込みとの差異が生じたため
(使用計画)次年度は本研究課題の最終年度であり、例年以上の物品購入や国際学会での発表が予定されていることから、その費用として有意義に活用する計画である。
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Research Products
(6 results)