2016 Fiscal Year Research-status Report
異なる時代や地域の標本とシミュレーションを複合させた国際河川環境教育
Project/Area Number |
16K01011
|
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
真山 茂樹 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (40199914)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 和弘 放送大学, 教養学部, 教授 (60242161)
大森 宏 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (10282691)
齋藤 めぐみ 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 研究主幹 (40455423)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 河川環境教育 / 博物館標本 / シミュレーション / ウェブ教材 / 珪藻 / 河川生物 / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本、米国、インドにおいて過去から現在までの河川環境の変化を認識し、その理由や過程を探究することで、科学的根拠を持って今後の見通しができ、自らの実生活や国際社会に対する思考力が高まる教育の実現を目指すため教材開発および実践と評価を行うことが本研究の目的である。平成28年度は教材開発を主に実施した。 国立科学博物館所蔵の4822珪藻試料から、1982年5月と1981年10月に採集された18試料を選定。同地点から2016年同月に珪藻を採集した。試料中に含まれる種を同定計数し比較した結果、多摩川永田橋、南浅川横山橋で採集した試料が過去と現在の違いを明瞭に表すものであることが判明した。どちらの試料も過去では強汚濁耐性種群のNizschia paleaが最優占していたが、現在の試料ではほとんどが弱汚濁耐性種群に分類されるものであった。これらについて、永久プレパラートを100枚ずつ作成した。 1970年頃に工場排水で汚濁した米国Cuyahoga Riverの試料を米国のJulius教授の協力により入手した。また、インドのKarthick博士より、H. P. Gandhiコレクションの中から1945年3月にムンバイのBorivili streamから採集した試料と、同地点から2017年4月に採集した試料を得た。過去の試料は清冽環境を示す珪藻で占められていたが、現在の試料中はNitaschia paleaが優占していた。 多摩川産の珪藻プレパラート中に含まれる珪藻の写真を撮影し、学習者用の同定ガイドを作成した。 河川水中探索シミュレーターソフトを試作した。AFMから得た珪藻のトポロジーデータから3Dバーチャルリアリティーの映像を米国のGorcica教授らの協力により作成。また、この技術を水生無脊椎動物に適用するため、多摩川で水生無脊椎動物を採集し3Dモンタージュ作成のためのデータを得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本国内での作業は順調に進んでいるが、インドの河川からのプレパラート作成を平成28年度中に実施できなかった。これは、昨年秋に研究協力者の所属するアグハルカル研究所が研究代表者の所属する東京学芸大学と協定を結ばない共同研究が実施できないようになったためである。協定覚書の取り交わしまでのやりとりがスムーズに行われず、その結果、インドの研究協力者から研究協力を受けられるのが平成29年5月になってしまった。当初の予定では2月にインドからの研究者を招へいする予定であったが、それができなくなってしまった。そのため、初年度に支払を予定していた費用の大部分を基金として翌年度に回すこととなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
インドの研究所から本年5月に研究者を招へいできたため、初年度の遅れは次第に解消されつつある。 本年度は日本、米国、インドの過去と現在の珪藻プレパラートを使用した授業プログラムを開発する。開発に当たっては国内では高校教員を協力者として事前調査、事後調査を行い授業プログラムの評価を行う。 また、インドにおいてはKarthick博士の協力の下、バンガロールの高校にて授業を行う。米国においてはJulius教授の協力を得て、セントクラウドの高校で授業を行う。 さらに、水中探索用3Dバーチャルリアリティーソフトの開発を米国Gorcica教授らと水生無脊椎動物を使用して進めていく。
|
Causes of Carryover |
当初の計画ではインドから研究者を平成29年2月に招へいする予定であった。しかし、相手先の都合により来日できるのが平成29年5月になってしまったため。 また、分担研究者の一人が11月から産休に入ってしまい、使用しきれなかった分があったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
インドからの研究者は平成29年5月に来日が決定した。平成28年度中に使用できなかった旅費をここで使用する。 また、産休の研究分担者も4月からは職場復帰したため、順調に研究成果を出せる状態に戻った。
|
Research Products
(4 results)