2018 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of new scientific experiments using genome editing technology
Project/Area Number |
16K01012
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
王賀 理恵 山梨大学, 医学部, 医学研究員 (00160432)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ゲノム編集技術 / 発生工学技術 / 遺伝子破壊 / 遺伝子挿入 / 科学実験法 |
Outline of Annual Research Achievements |
様々な生物種においてゲノム解読が完了しているので、ゲノムを簡単に改変できる技術を開発することができれば、ゲノムに潜む新しい機能を解明できると考えられる。2013年に開発されたCRISPR/Cas9法は、標的ゲノム部位にDNA二重鎖切断を簡便に誘導できるので、その後のゲノム修復の過程で生じる高頻度の挿入・欠失変異を利用して簡単に標的遺伝子の破壊を行うことができるようになってきている。 本研究の目的は、モデル脊椎動物であるゼブラフィッシュにおいて従来のCRISPR/Cas9法と比較しより簡便な速攻型CRISPR/Cas9法を確立すること、それを用いて外来遺伝子であるレポーター遺伝子を標的ゲノム部位に挿入する手法に応用することである。さらに、これらの技術開発で使用したゲノム編集効率の評価法を医学部の生物学実験として確立した。 本研究の成果は、化学合成したcrRNA, tracrRNAおよびCas9タンパク質による速攻型CRISPR/Cas9法がgRNAとCas9 mRNAを用いた従来法と遜色のないゲノム編集活性を持つこと、さらに、利点として早い発生段階からゲノム変異が導入されていることを明らかにしたことである。次に、この速効型CRISPER/Cas9法をレポーター遺伝子の標的ゲノム部位へのノックインに応用し、実際に目的のノックイン系統を樹立できた。また、速攻型CRISPR/Cas9法を用い組織特異的発現を示す未解析遺伝子を破壊したゼブラフィッシュ変異体の作製に成功した。この過程で得られた変異体胚を用い、様々なゲノム変異の性状とゲノム編集効率を考察する新しい生物学実験を構築し、実際に医学部の生物学実習として実施した。つまり、本研究では、ゲノムの機能を解明できる新しいゲノム解析技術を確立するとともにゲノムの機能を体感できる新しい生物学実験の構築を行った。
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