2018 Fiscal Year Annual Research Report
Innate immune responses in the silkworm
Project/Area Number |
16K01018
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
森本 弘一 奈良教育大学, 理科教育講座, 教授 (70243350)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 免疫 / カイコ / 高等学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
昆虫には優れた免疫系が発達しているが,脊椎動物で見られるような抗体生産や免疫記憶を伴う獲得免疫機能は備えていない.昆虫の免疫系は主として2種類に大別でき,細胞性と液性応答が知られている。 これまで行った細胞性応答に加えて、液性応答である化学的防御についても調べた。熱処理した死菌(108 細胞/mL)をカイコ幼虫に接種し,24時間後に採取した体液を用いて抗菌活性を調べた。供試した6個体の全ての体液に抗菌活性が検出され,その阻止円直径が11-15 mmであった。 また,大腸菌LPSを接種した全個体の体液からも,直径12-13 mmの阻止円が検出された。上述したように死細菌およびLPSを接種した個体の熱処理体液中に抗菌物質が存在することが明らかになった.その物質の性質を調べるために,LPS接種体液をプロテアーゼで処理した.その結果,抗菌活性が消失したことから,その本体は耐熱性抗菌タンパク質であることが明らかになった。 本研究から,哺乳類の免疫に先立ち,カイコの免疫機能を学ぶことにより、昆虫と哺乳類の自然免疫を対比して学習することが可能となった.両者間で共通する自然免疫の応答反応とその役割についての学習の機会が拓かれると思われる.一方,哺乳類と昆虫の大きな違いは,哺乳類では自然免疫に引き続いて獲得免疫系が作動することであり,進化と共に発達した生体防御システムの理解が深められると期待されるものである。 本研究を基に,細胞性防御応答である食作用の観察と液性の化学的防御応答である抗菌タンパク質の検出を統合した実験日程案を提案する。墨汁,ポリスチレンビーズ,死菌,LPSの注射は実験の前日に行い,2つの応答反応を4日間で調べることができるが,授業の時間配分に応じて,食作用とカップ法による抗菌活性に限定すると2日間で終了できる。
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