2016 Fiscal Year Research-status Report
理科における高次思考スキルとしての科学的推論に関する理論的・実践的研究
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16K01020
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松浦 拓也 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (40379863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 博義 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (20556469)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 科学的推論 / 理論的検討 / 試行テスト |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、科学哲学や理科教育の文脈における科学的推論の特質を明らかにすると共に、理科の問題解決における科学的推論を高次思考スキルの観点から具体化・精緻化することを目的とした。また、児童・生徒を対象とした科学的推論の実態把握をするために、調査問題の開発や試行テストを行うことを目指した。 研究実績としては、まず、理論的検討として、科学的推論を中心に、メタ認知やクリティカル・シンキングなど高次思考スキルに含まれる能力に関する先行研究を収集・整理し、科学哲学や理科教育の文脈から分析することを通して、演繹的推論や帰納的推論といった枠組から科学的推論を再考し、理科の問題解決における科学的推論を高次思考スキルの観点から具体化・精緻化した。更に、学習科学における推論研究の動向を把握するために、シンガポールのNIEで開催された国際学会に参加し、情報収集を実施した。 また、具体化・精緻化した科学的推論について、研究協力者との協働に基づき、科学的推論と批判的思考の関係という観点から中学3年生および高校1年生を対象に試行的な調査を実施し、演繹的推論や帰納的推論といった各推論形式における批判的思考の関係性について分析した。その結果、ある推論形式で批判的思考をが機能していても、他の推論形式で批判的思考が機能するとは限らないことなどが明らかとなった。 その他、試行テストとは別に、複数の学年の通過率を統計的に比較する際などに重要となる手法について、近年実践的に用いられるようになってきたベイズ統計学に基づく手法と、従来からの多重比較を比較した。その結果、ベイズ統計学に基づく手法が複数学年の比較において有効に機能することを確認するとともに、学会発表を通して他の研究者とも議論を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
科学的推論について理論的検討を進めるとともに、試行テストを実施したり、分析手法について実践的に検討を進めることができていることから、本研究課題について概ね順調に進展していると考えている。ただし、試行テストの結果から、改善や追加事項の必要性も指摘できるため、この点については課題が残っていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の進捗状況において述べたように、試行テストの結果から、改善や追加事項の必要性も指摘できる。このため、当面は、本格的な実態調査を進めるために、調査問題の改善とその検証を急ぐとともに、本格的な実態調査に向けての準備を整えていく。
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Research Products
(6 results)