2017 Fiscal Year Research-status Report
理科における高次思考スキルとしての科学的推論に関する理論的・実践的研究
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16K01020
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松浦 拓也 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (40379863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 博義 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (20556469)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 科学的推論 / 類推 / クリティカル・シンキング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、科学的推論を基盤に、クリティカル・シンキングの要素を加え、科学的推論の実態を横断的に評価し、学習者の発達段階に応じた科学的推論の能力を育成するための基礎的・実証的データを収集することを目的とした。 科学的推論の評価に際しては、主として類推に関する内容で調査問題を構成し、中学生(496名)、高校生(262名)、大学生(168名)を対象とした横断的調査を実施した。また、クリティカル・シンキングの測定については、5件法による質問紙形式で評価を行い、「思考の吟味」「証拠の重視」「分析性」「懐疑心」「探究心」「客観性」の6因子(24項目)を抽出し、科学的推論との関連について分析した。 科学的推論(類推)の評価問題とクリティカル・シンキングの関連について相関分析を実施した結果、中学生では「思考の吟味」「証拠の重視」「探究心」「客観性」の4因子において、高校生では「思考の吟味」「証拠の重視」「探究心」の3因子において、大学生では「思考の吟味」「探究心」の2因子において、それぞれ弱い相関が認められた。上位の学校段階に進むことによって相関がある因子が減少していることから、入試に伴う選抜効果なども加味しながら解釈をする必要があるのではないかといった議論をしている。 また、国内外の学会等に参加して科学的推論およびクリティカル・シンキングに関する情報収集をするとともに、クリティカル・シンキングに関する理論的検討の結果や、科学的推論(類推)の実態について発表を行い、他の研究者と議論を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
科学的推論の横断的評価に関して、クリティカル・シンキングの要素を加えた調査を実施できていることから、おおむね順調に進展していると考える。ただし、主として類推に関する内容での調査は実施できているものの、演繹等に関する内容を主体とした調査については横断的な調査が完了していないため、当初計画に照らすとやや遅れているという側面もある。これは、調査問題の実施に想定以上の時間を要することなども原因として挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況において述べたように、演繹等に関する内容を主体とした調査については横断的な調査が完了していないため、今後、科学的推論として評価する範囲を拡げる必要性の有無について検討すると共に、評価についても平成30年度の研究に継続課題として取り込みながら研究を進めていきたいと考えている。
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Research Products
(11 results)