2018 Fiscal Year Annual Research Report
Research on scientific reasoning as higher order thinking skill in science
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16K01020
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松浦 拓也 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (40379863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 博義 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (20556469)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 科学的推論 / クリティカル・シンキング / 理科教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、理科の学びにおける高次思考スキルとしての科学的推論に着目し、問題解決の一連の教授-学習過程を通して児童生徒の科学的推論の能力を育成するための理論的・実証的研究に取り組んだ。具体的には、科学哲学や理科教育の文脈における科学的推論の特徴を明らかにすると共に、高次思考スキルに含まれるメタ認知やクリティカル・シンキング等との関係性を現代的視座に基づいて整理し、理科の問題解決における科学的推論を高次思考スキルの観点から具体化・精緻化した。また、学習者の科学的推論の実態を横断的に評価し、基礎的・実証的データを収集した。 最終年度である平成30年度においては、主に、前年度からの継続課題であった演繹および帰納を含めた横断的な調査を実施することにより、推論形式を考慮した発達の様相を明らかにした。具体的には、中学生985名、高校生667名、大学生(理系)123名、合計1775名を対象に調査を実施した結果、いずれの学年においても通過率が低かったのは、科学的に間違った暗黙の前提が含まれる演繹的推論場面において推論の誤りを指摘する問題であった。また、必要条件に誤りが含まれる演繹的推論や過度の一般化を行っている帰納的推論の問題においては、学年の上昇に伴って通過率も上昇する傾向が見られた。 これらの調査結果より、理科における問題解決過程の教授-学習過程における科学的推論の育成の留意点を導出した。しかし、調査問題の内容や構造、時間的制約を考慮した結果、現段階では児童を対象とした調査については十分なデータを得ることができていない。また、調査に時間を要した影響から、科学的推論の能力を育成するための教授-学習プログラムの試行については実施することができなったため、今後の課題となった。
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Research Products
(15 results)