2016 Fiscal Year Research-status Report
専門家による知の伝達ー双方向的な解説手法の確立と検証
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16K01024
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Research Institution | Sapporo City University |
Principal Investigator |
町田 佳世子 札幌市立大学, デザイン学部, 教授 (40337051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 奈美子 (大西) 大分大学, 医学部, 教授 (50344560)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 専門家 / 科学コミュニケーション / 知識を伝える |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、専門家による知の伝達と聴衆の学びや効果に関する研究の一環として、専門家の側から見た伝える工夫を明らかにすることを目的として、環境省の野生鳥獣保護センターやネイチャーセンターなどに所属する獣医師・ネイチャーガイド(以下専門家と呼ぶ)を対象として、一般の人々に自らの知識を伝えるときに意識していることや課題などを聞き取り調査した。聞き取り内容として、①担当したプログラムを構成する際の留意点や構成原理②一般参加者に最も伝えたいことや学びとして持ち帰ってほしいと思うこと③プログラム構成の際に苦労したことや課題④プログラムや講演、解説などを行った際に感じた課題や聴衆の反応⑤今後どのような工夫が必要と考えているか、を含めた。また実際の解説場面や小学校に出向いての授業の様子を見学し、さらに聴衆から寄せられた感想を分析した。 聞き取り調査の内容と授業見学、感想の分析から、伝えたい内容を厳選し焦点を絞ることが聞き手の理解に非常に有効であること、専門家の側にこれを伝えたいという明確な目標が定まっていないと内容が詰め込まれすぎること、焦点が絞られていれば、伝える内容がネガティブなものであっても(野生動物の死など)聞き手は事実・正しい知識として受けとめることができることが確認できた。また今年度の調査は、次年度に予定している、知識を受け取る側の期待や知りたい内容と、専門家として伝えたい内容やその順序の一致・不一致をみる調査の前提としても位置づくものになった。次年度もできるだけ多様な分野の専門家を対象として聞き取り調査を継続し、専門家が思い描く知の形成プロセスやわかりやすいと考えている伝達方法を見出すとともに、聞き手を対象に理解の内容や深度について調べ、伝わる科学コミュニケーションを作り上げるプロトコール創出の基盤とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一般の人を対象とした専門家の解説や小中学生を対象にした授業はひんぱんに実施されているわけではなく、調査協力を表明してくれている専門家によっては年1回から2回程度の場合もある。より多くのデータを収集するには1年では難しいこともあり、その点でデータ収集が遅れることもあるが、現在のところはおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、専門家の解説を聞く側、すなわち知識を受け取る側の期待や知りたい内容と、専門家として伝えたい内容やその順序の一致・不一致をみる調査を行う。そのために、専門家に対しては解説内容の構成についてさらに詳細に聞き取りをすること、また解説の聞き手に対しては何に関心があるかの調査を開始する。
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Causes of Carryover |
3月に予定していた聞き取り調査が対象者の都合で4月以降になったため、テープ起こしの費用と旅費が未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
4月以降に延期になった聞き取り調査の実施に使用する予定である。
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