2017 Fiscal Year Research-status Report
二重過程に基づく数量情報のリスクコミュニケーション手法の視線測定を用いた分析
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16K01035
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
広田 すみれ 東京都市大学, メディア情報学部, 教授 (90279703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 正裕 東邦大学, 医学部, 客員講師 (40130364)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 眼球運動測定 / 感情 / 特定できる犠牲者効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は特定できる犠牲者効果(以下IVE)の先行研究の検討と、予備研究としてIVEのポスターに対する眼球運動測定を行い注視点を検討した。IVEはリスクコミュニケーションの文脈ではSmall et al.(2007)が有名だが、現象自体は行動経済学で以前から知られていた。ただ実証研究として盛んになったのはSmallの研究前後からで、現在まで心理系学術誌に24本の論文があるが、むしろ意思決定研究や援助行動等の文脈で研究が行われている。例えばWiss et al.(2015)はトロッコ問題を用い特定できること(indentifiablitiy)と一人であること(singularity)の効果を独立に検討、前者が単純にpositiveな効果を持たず(グループの場合にはnegativeな場合も)、感情的リアクタンスの媒介の可能性に言及している。同様に近年の研究では感情との関係が検討され(Friedrich and McGuire 2010; Kogut and Ritov 2005a, 2005b; Ritov and Kogut 2011; Small et al. 2007;Lee & Feeley, 2017)3つで仮説が支持されているが、どれも感情状態の言語報告によるもので、視線による直接測定を用いた研究は依然ないことが明らかになった。 実証研究として、本年度はIVEをベースとした感情喚起要素と数値情報を含む対象(ポスター6枚)と、従来使われている文字・数値情報のみのポスター1枚、それ以外に海外の恐怖喚起を生み出すような表現のポスター2枚に対する眼球運動測定を行なった。結果のうち、瞳孔反応は現在分析中であるが、視線の動きとしては文字・数値情報が対象内に含まれている場合には必ずまずそれらが注視されること、また「血」のような強い感情喚起要素はすぐに注視されることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が学部教務委員長を平成28-29年度勤めることになり、また他の助成研究も並行して進むことになったこと、さらに研究代表者の体調不良(更年期障害)より実証研究が計画より遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
2年間で眼球運動測定器の使用とデータ処理にはある程度習熟したこと、また平成30年度は役務(教務委員長)を任期終了したこと、さらに半年間の在外研究で授業担当などを離れることになったことから、今後スピードアップが図れると考えている。
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Causes of Carryover |
実証研究が予定よりも遅れたため、実験参加者謝礼などの部分が未使用となった。平成30年度の実験遂行時にこれらを利用する。
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