2016 Fiscal Year Research-status Report
科学リテラシーを涵養するための動物細胞の培養技術の検討
Project/Area Number |
16K01037
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
浅賀 宏昭 明治大学, 商学部, 専任教授 (80231877)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 動物 / 細胞 / 培養 / 無菌操作 |
Outline of Annual Research Achievements |
動物細胞を培養するためには、無菌操作をするためのクリーンベンチと、5%二酸化炭素(95%空気)中で保温できるインキュベーターが必要だが、これらは高価で大がかりな装置である。そこで2016年度は、廉価な材料で省スペースのクリーンベンチとインキュベーターの自作を試みた。 クリーンベンチは、ポリプロピレン製のコンテナ(幅440mm×奥行740mm×高430mm、半透明)の本体を実験台に伏せて置き、その一面に手を入れられる窓を付け、反対側上部に小孔をあけ、濾過フィルター(孔径0.22μm)を取り付けた。フィルターはチューブでエアーコンプレッサーに接続し、作業中にクリーンな空気が流れるようにした。内部には小型UV灯とガスバーナーを設置し、作業前や作業中に使えるようにした。落下菌テストを実施し、この自作クリーンベンチで無菌操作が可能であることを確認した。尚、使用後は、本体内部に一式を入れて蓋をして片づけられるような工夫も施した。 インキュベーターは以下のように作製した。すなわち、ポリプロピレン製の食品保存用容器(幅241mm×奥行329mm×高117mm、容量:5.6L、半透明、蓋付)本体の一端に小孔を開けてチューブを付け、ここから二酸化炭素を注入できるように加工し、蓋には内側に温度計を外から読めるように取り付け、チャンバーとした。使い方は、内部底面に組織培養用ディッシュを置き、蓋をして、外部からチューブを通して容器の内容量の1/19相当の295mLの二酸化炭素(フラスコに水、炭酸水素ナトリウム、クエン酸を適量入れて、発生したものを使用)を注入後、パネルヒーター(32W、パネルサイズ240mm×480mm)上に置くとした。この自作インキュベーターの機能を確認するため、37℃で、ニュートラルレッド添加培地を培養用ディッシュに入れて保温したところ、少なくとも4日間のpHの安定を観察した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2015年度までは別の課題に取り組み、現在も使用している実験室においてコウジカビ等を用いた発酵実験なども行っていた。2016年度から本研究課題に取り組んでいるが、実験室内にコウジカビが残存していたようで、これがコンタミネーション(微生物汚染)の原因となった。その対策に手間と時間がかかったため、当初、予定していたほど進めることができず、学会発表や論文発表の遅れの原因にもなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
現状では、所期の目的がほぼそのまま達成できると考えているので、すでに立てた研究計画の大幅な変更をせずに研究を進められると考えている。 すなわち、まず、業者から動物細胞を購入し、あるいは他研究機関から譲渡された培養細胞を用いて、本研究で自作したクリーンベンチとインキュベーターでその動物細胞の培養を試みる。この結果が良好であれば、次に、マウスもしくはラットを用いて、初代培養を試みる。初代培養の対象は、マクロファージおよび皮膚・真皮由来の線維芽細胞を予定している。これは、両細胞が、初代培養しやすい細胞であると予想されるからである。培養可能であると判明したら、その観察方法や、新たな培養方法(細胞外マトリックスを用いた培養法など)についても検討を加えたい。
|
Causes of Carryover |
既に他の欄で述べたが、2015年度までは別の課題に取り組み、現在も使用している実験室においてコウジカビ等を用いた発酵実験なども行っていた。2016年度から本研究課題に取り組んでいるが、実験室内にコウジカビが残存していたらしく、これがコンタミネーション(微生物汚染)の原因となり、その対策に手間と時間がかかったため、当初、予定していたほど進めることができず、従って研究費も使い切ることができなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度に入り、上記の微生物トラブルの原因は解消され、実験を含む研究が速やかに進められる状況が既に整っている。従って、遅延していた計画分の実験を実施するための費用に「次年度使用額」を充てていく所存である。
|