2016 Fiscal Year Research-status Report
ドイツ初等・基礎領域における科学教育カリキュラム改革-学びの連続性の観点から-
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16K01040
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
宮野 純次 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (00229874)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 就学前と初等段階の科学教育 / 学びの連続性 / 教育スタンダード / 幼児教育のためのガイドライン / 科学教育カリキュラム改革 / コンピテンシー指向の科学教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
国際学力調査(TIMSS,PISA)の結果が与えた衝撃を契機に,幼児教育における知的教育の重点化を進めているドイツに焦点を当て,就学前と初等段階の科学教育に関して学びの連続性の観点から考察を進めている。 ドイツでは,学力向上施策の一環として,初等・中等教育の「教育スタンダード」(Bildungsstandards)の作成と共に,連邦政府から「幼児教育のためのガイドライン」が提示され,各州においては,保育施設における「教育計画」(Bildungsplaene)が作成されている。 当該年度には就学前と初等段階の学びの連続性の観点から,初等段階において科学や自然に関する学習を行う教科「事象教授」(Sach-unterricht)について,1)2002年の学会版教育スタンダードと2013年改訂版との比較検討により,コンピテンシー指向の科学教育について明らかにした。2)そして各州の取り組みだけでなく,ドイツ全州に拡げて文献による調査・研究を進めつつある。またそれらを支援するための様々なプログラムや具体的に取り組まれている観察・実験法,体験的な活動,などを追試し検討を加えつつある。 就学前段階に関しては,3)連邦レベルでの就学前段階の科学や自然に関する学習の構想について明らかにした。4)2003年から2006年の間に,開発された16州すべての教育計画に関して調査・研究を進め,それらを支援するための様々なプログラムや具体的に取り組まれている観察・実験法,体験的な活動,などを追試し検討も加えつつある。5) さらに,2006 年以降に改訂版が出された各州の教育計画に関しても調査・研究を進め,比較検討を加える予定である。 ドイツにおける科学教育カリキュラム改革について学びの連続性の観点から考察することは,幼年期から科学リテラシーを高めることに関する新しい知見を得ることに繋がる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に計画していた,以下の内容についておおむね順調に進展している。 連邦制をとり 16 州から構成されるドイツは,連邦政府に連邦教育科学研究技術省が設けられている。教育主権は各州に属しておりそれぞれ教育省が設けられているが,教育改革の全体的なガイドラインは連邦レベルの勧告や決議等で示される。ドイツの初等段階における科学教育改革に関しては,①学会版教育スタンダードの比較検討により,コンピテンシー指向の科学教育について明らかにし,②ドイツ各州へと拡げて比較考察しつつある。就学前段階に関しては,③連邦レベルでの構想を明らかにし,幾つかの州を取り上げて具体的に明らかにしつつある。その際,それらを支援するための様々なプログラムや具体的に取り組まれている④観察・実験法,体験的な活動,なども追試し検討を加えることに重点をおいている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に引き続き,ドイツ初等段階における科学教育カリキュラムと比較しながら,就学前段階における科学教育改革に関して残りの州,さらに改訂された各州の教育計画を取り上げて文献による調査・研究をすすめ,並びに具体的にそこで取り組まれている観察・実験法,体験的な活動を追試し検討を加える予定である。十分な成果をあげるためには,当該研究計画において,さらに現地で関連分野の研究者から具体的にレビューを受ける必要もある。
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Causes of Carryover |
物品費(設備備品費・消耗品費)においては、購入予定の雑誌が廃刊になったこと、図書が一部購入できなかったことなどによる。旅費(国内旅費・外国旅費)においては、出張日数の変動や航空運賃の変動などによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費(設備備品費・消耗品費)においては、昨年度購入できなかった文献や消耗品の購入を計画的に進める予定である。また、旅費(国内旅費・外国旅費)に関しても、昨年度確保できなかった出張日数を確保する計画である。
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Research Products
(1 results)