３次元運動解析システム作成と物理実験および身体運動理解への応用法の研究

2016 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 16K01041
• Research Institution: Osaka Institute of Technology
• Principal Investigator: 藤井 研一 大阪工業大学, 情報科学部, 教授 (10189988)
• Project Period (FY): 2016-04-01 – 2019-03-31
• Keywords: 力学実験 / コンピュータビジョン / リアルタイム運動解析 / 相対運動

Outline of Annual Research Achievements

コンピュータビジョン技術を用いて、動画より運動物体の抽出および運動解析を可能とするソフトウェアを開発した。これまでのソフトウェアでは、物体を色と形で認識して、質点として取り扱い、重力下での質点の運動解析を可能とした。このソフトウェアを用いることで、物体位置をリアルタイムに重ね合わせて、軌跡を可視化することが出来るが、さらにそれぞれの位置で物体にはたらく力をベクトルとして表示可能となっている。これにより視覚的に力の理解が可能となり、より直感的な力学理解が可能となったと考えられる。現実の物体には重心まわりの回転等の相対運動が生じる。画像データからこのような相対運動を示すことは困難であるため、相対運動表示および解析は手つかずだったが、今回はこのソフトウェアでの物体抽出を物体の２点に付加した色情報を用いることで、条件付きではあるが可能とした。これにより物体の相対運動（回転等）も識別可能となったと考えられる。
さらに本ソフトウェアの取り扱いと実験手法を詳細に記したマニュアルを作成し、運動解析システムに必要なソフトウェアなどをまとめてCD化し高校へ提供することができた。実際に、複数の高校および中学校に打診し、受け入れを認めてもらうことができた。これらの学校には、システムを含むCDを提供することができた。これにより、本運動解析システムによる力学学習の試験実施の準備が整った。実際の実験およびその効果の検証実験は近日中に行えるようになっている。
また、これまでの成果をまとめた論文を執筆した。一報は平成29年7月に開催予定の第5回applied computing & Information Technology (ACIT2017)に採択され出版される予定である。もう一報は情報処理学会の論文誌に投稿中である。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

ソフトウェアの開発はほぼ予定通り実施出来ている。コンピュータビジョン技術は従来我々が用いてきた技術をそのまま使用しており、相対運動の解析も可能とした。最新のコンピュータビジョン技術の使用についても今後検討する予定であるが、これ迄用いてきた手法でも、ある程度の精度で相対運動についても計測可能であることが分かったため、ソフトウェア開発から、実際の使用による効果検証に移ることが可能となったといえる。

Strategy for Future Research Activity

このシステムを用いた実験を、対象とする高校生および中学生に対して行ない、本システムの効果の検証を行なう予定である。

Causes of Carryover

高校生および中学生を被験者とした効果確認のための実証実験に機材を必要とする。平成28年度は、データ取得および解析ソフトウェアの開発に集中したため、実験までこぎ着けることが出来なかった。またコンピュータのソフトウェア環境の変化は激しく、使用時期に機材を購入する方が適切との判断をくだした。特に、OSであるWindows10が安定化し、本ソフトウェアが確実に動作する環境の確認がのぞましい。このため、平成28年度は実験用の器材を購入せず実験を実施する平成29年度に購入することに変更した。

Expenditure Plan for Carryover Budget

高校、中学校に出向き実証実験を実施する。このために必要な機材の購入を行なう。