2017 Fiscal Year Research-status Report
3次元運動解析システム作成と物理実験および身体運動理解への応用法の研究
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16K01041
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤井 研一 大阪工業大学, 情報科学部, 教授 (10189988)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 力学実験 / コンピュータビジョン / リアルタイム運動解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウェッブカメラ撮影による動画にコンピュータビジョン技術を用いることで、実際の物体の運動にその場で力のベクトルを表示して提示できる機能は、その精度も含め教育現場での使用に耐えるものとした。このためにウェブカメラに使用されるCCDセンサーやCMOSセンサーの特性と動体撮影時の歪みの考察も深めた。この考察も開発した運動解析ソフトウェアに含めることで、本ソフトウェア利用による動体測定の実験において、重力加速度をほぼ10%以内の精度で求めることができた。しかしながら重力加速度の精度良い数値を得るためには、運動撮影に注意深い配置の設定が必要となった。これは動体の運動軌跡がカメラに対し垂直な面内に収まる必要があるためである。これは学校教育での本ソフトウェアの使用を制限する恐れもあるため、このような制約を取り除くことを考えた。そのため、深度センサーをもつマイクロソフト社の製品、キネクトの使用を想定して改めて運動解析ソフトウェア開発を行った。 しかしながら、このキネクトの提供取り止めがマイクロソフト社により決定されたため、この製品利用を断念せざるをえず、深度情報を得るための代替案を考える必要が生じた。現状ではレーザー距離計の利用を行い、実験状況の測定をまず行った後、開発した運動解析ソフトウェアでの実験を想定している。問題点としてはレーザー距離計自体一般的な存在ではなく、本体も高額であり、想定している利用者にとって不慣れなものであると予測されることが挙げられる。このため学校教育の中での使用を容易にするためのマニュアルの制作が必須となった。 このような状況を含めた開発結果は昨年度の国際会議ACIT2017において報告した。曲折があったため、実際の高校および中学校での実験は遅れており、本年度の実施のための準備を進めている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績にも述べたように、想定していた機器の入手が困難となり使用できないこととなったため、代替案を得る必要があった。現状ではレーザー距離計の利用を想定しているが、この機器が高額かつ一般的でないといった問題点を抱えている。このような想定外の事態が発生したため、予定していた教育現場での実験実施が遅れることとなった。とはいえ、開発している運動解析ソフトウェア自体の性能は向上させることができ、より高い精度での実験を行える可能性を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度ということもあり、できるだけ早い時点での教育現場での実験実施が必須と考えており、現在その準備を行っているところである。 実験は測定の実施だけではなく、その実験のための準備も含めて実験であるため、高校および中学校の学生に、そのような実験に必要な準備を含めた知識を獲得してもらうことは有意義なことと思われる。ただ、限られた教育時間内にどこまでの内容を含めるかの授業設計を考えて、実験実施を行うことが必要であることは間違いない。このためのマニュアル作りは非常に重要と考えられる。実験に必要な器具(ハードウェア)と本運動解析ソフトウェア以外に取り扱いとその背後にある測定に関わる知識を獲得可能とするマニュアルの作成が改めて重要と理解したため、マニュアル作りに力を注ぐ予定である。
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Causes of Carryover |
想定していた深度センサーKinectの使用を断念せざるをえず、このため使用機材の見直しを迫られたため。 運動理解のために是が非でも奥行き情報が必要というわけではなく、実験精度を高めることが本来の目的である。このため物体の運動面がカメラに対してできるだけ垂直になる必要がある。この測定のためにレーザー距離計の使用を予定している。レーザー距離計を用いて物体の運動する平面までの距離を測定し、実験精度を高められるようにシステムを設計し、そのためのマニュアルを準備することで対応する予定である。
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