2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development and diffusion of practicable teaching materials using marine invertebrate in elementary and secondary school classes
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16K01046
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Research Institution | Tokyo National College of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 篤子 東京工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (40433734)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 教材開発 / 発生観察実験 / 血球観察実験 / 筋収縮実験 / 海産無脊椎動物 / 教員研修 |
Outline of Annual Research Achievements |
海産無脊椎動物を用いた観察・実験を初中等教育現場に最適化した形で提供し,それらを普及することで児童・生徒の学習の定着を図ることを研究目的としている.複数の実験を構築するにあたり,1. 授業への最適化,2. 実施資料の作成,3. 実験実施と効果の調査,4. 改善,5. 実施,6. 普及の6段階で研究を推進した.開発実験の多くは段階5「実施」に到達し,昨年度から「普及」に入っていた. 昨年度までの教員研修での実践では,実際の授業への実験導入障壁が「設備不足」にあるとの声が多かった.とくに「顕微鏡不足」は深刻で,小学校教員及び小学生にアンケートを実施したところ,顕微鏡の配置は3~4人,一班に1台という学校が主流であった.そこで,スマホ顕微鏡の紹介を実験実践と合わせて行い,設備不足への障壁を下げることを試みた.教員に対しての実践では,「紹介した実験の導入検討への肯定的回答」がスマホ顕微鏡紹介前は30%前後であったものが,70%弱まで上昇した.小学生に対しての実践では,身近なスマホが手軽に顕微鏡として使えることで,付添い保護者とあわせて80%を超える実践者の興味を喚起できた.以上より,設備面での障壁の低下は実験の実践上昇に極めて効果的であることが示唆された. これまで開発した実験は,教員,高等学校生物基礎履修者および小学生に対して学習と興味喚起効果が高いことを示してきた.教科書を調査したところ,小学校と高等学校の両校種と比較して,中学校では動物を使った観察・実験が植物に比べて少ないことが分かった.そこで,「貝類を用いた心拍観察および恒常性の実験」を中学生に対して実践したところ,無脊椎動物の生命活動に対する高い学習効果が得られた.海産無脊椎動物教材が,小学校から教員まで,各校種・学習内容に応じて対応が可能で,実践も容易なことから,理科・生物の実験実施向上へとつながる可能性が示された.
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