2018 Fiscal Year Research-status Report
複数高専と民間企業の連携によるロボットを活用した生産システム制御技術者の育成
Project/Area Number |
16K01047
|
Research Institution | Numazu National College of Technology |
Principal Investigator |
三谷 祐一朗 沼津工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (00280389)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上 泰 明石工業高等専門学校, 電気情報工学科, 准教授 (20413809)
佐藤 拓 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (30451545)
岩野 優樹 明石工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (90413799)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | グループワーク / PBL / コンテスト / 連携プロジェクト / モーション制御 / PLC / 制御技術教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年8月26日から31日までの6日間,オムロン・高専機構共同プロジェクト「第8回制御技術教育キャンプ」を実施した.平成28年度まではオムロン株式会社東京事業所にて実施していたが,平成29年度に初めて,明石高専の協力を得て,高専内での実施を試みた.参加人数が過去最多となり,本プロジェクトの最大の目的の一つである,高専生の制御技術の向上に大きく貢献した.しかし,会場となった明石高専には多大なる負担をかけ,継続的に明石高専で実施する事は困難であることから,平成30年度は国立オリンピック記念青少年総合センターにて実施した.また,参加学生が取り組んだ制御課題は「自動ピタゴラスイッチ」と称する,新型PLCが有するサーボ機構の高精度・高速制御機能を活用し,かつ物理現象の高度な理論解析を要するもので,参加学生の飛躍的な成長が確認できる有意義な活動となった. また例年同様に,その活動に引き続き,夏季休業から年末にかけて,オムロン・高専機構共同教育プロジェクト「第4回PLC制御コンテスト~身近な”困った”を自動制御で解決~」を実施した.平成29年度とほぼ同一テーマで実施したが,今年度はPLCの機能を有効に活用したハードウェア・ソフトウェアを製作したものが多く見られ,こちらも制御技術教育キャンプと同様に,参加学生の教員が期待する方向への著しい成長が確認できた. 当初の予定であった非接触搬送システムの活用には至っていないものの,制御技術教育キャンプでは高専で学んだ力学等の理論を活用した課題解決がなされており,本研究で目指す高度な実践的制御技術を持つ技術者の育成という目的は達成されたと考える.なお,非接触搬送システムの構築は順調に進んでおり,平成31年度には教育における実用的な活用方法を検討予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始時に設定した3つの目的:「[1] 教育活動を,民間企業と連携して実施することで,社会的ニーズを具体的に把握し,高専における実践的教育を促す.[2] 高専間の連携により,日本の産業を支える生産システム制御技術に関する教育活動を強化し,優秀な技術者を育成する.[3] 現行のオムロン・高専機構共同プロジェクトを,韓国など海外の学生との合同教育プロジェクトに拡張し,グローバル化を図る.」のうち,[1],[2]については,研究開始当初より継続して実施できた.具体的には,毎年夏季休業中に合宿形式で開催している「制御技術教育キャンプ」および,夏季休業終了時より冬期休業中にかけて実施している「PLC制御コンテスト」への参加学生は例外なく,高度な実践的制御技術をPBL形式で習得し,機器の提供を受けたオムロン(株)等の制御・情報系企業からも高い評価を受けた.一方,目的の[3]については,平成28年度に初めて日韓合同制御技術教育キャンプを実施し,本研究を開始した初年度に達成したものの,開催時期の問題等でそれ以降は高専生のみの参加であった.しかし本研究最終年度の平成31年度に,「日中合同インターンシップ」とサブタイトルを付け,中国の大学生と合同での制御技術教育キャンプの実施が決まった.本研究の手段として実施しているオムロン・高専機構共同教育プロジェクトが,中国オムロンを通じて高く評価され,日中合同の実施とすることができた. なお磁気浮上制御を用いた非接触搬送については,上記2件のプロジェクトに活用するには至っていないが,平成30年度に単軸ステージ9台を製作済であり,平成31年度の5年次開講科目「システム制御工学基礎」にて活用中,同年9月の企業技術者向け公開講座「PLCを用いたモーション制御入門」にて活用予定である.平成31年度中には非接触搬送への拡張を検討予定である.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成31年度も,オムロン・高専機構共同教育プロジェクト「制御技術教育キャンプ」および「PLC制御コンテスト」の実施が決まっている.特に「制御技術教育キャンプ」については,中国の大学生との合同開催の予定であり,主として英語を用いたグループワークを計画している.研究開始当初の3番目の目的であるグローバルな人材育成に貢献できると考えている.また,オムロン(株)が平成30年度に新型3軸直交ステージを開発済であり,平成31年度はそれを活用し,「高速・高精度」をキーワードにした学生への制御課題を検討中である.その成果によって,次年度の非接触搬送実現に向けた検証を予定している. 非接触搬送については二つの方向性を考えている.一つ目は,オムロンの高速・高精度な変位センサを用いた搬送システム,二つ目は,安価なホールセンサを用いた小型の搬送システムである.前者については,センサの高精度な特性を活かし,搬送制御系全体のロバスト安定性を考慮した搬送システムの構築を検討する.平成30年度までで,浮上系のロバスト制御系の設計に成功し,設計仕様として与えた規範モデルの応答が実験的に得られることを確認した.そこで今年度は,その制御系に水平方向の搬送におけるロバスト安定性を考慮した,多入出力系への拡張を試みる.後者については別途,以前オムロンとの共同プロジェクトメンバーであった岐阜高専の小林らとの共同研究が進み,磁気浮上装置が大幅に小型化できる,新しい手法の提案があった.その手法を搬送系に応用することで,当初のイメージどおりの,ボルトやナットのような小さな部品の搬送も可能となる見込みである.平成31年度は,以上二つのアプローチ方法により,非接触搬送制御系の完成度を上げる予定である.
|
Causes of Carryover |
理由:オムロン・高専機構共同教育プロジェクトとして実施した「制御技術教育キャンプ」および「PLC制御コンテスト」において,当初予定していた非接触搬送システムの実装に至っておらず,そのシステム構築ためのハードウェア購入予算の使途を変更したことによる. 使用計画:本プロジェクトの,かつての共同研究者であった岐阜高専の小林らの協力により,平成30年度に新しい,研究開始当初に計画していた制御システムに近い磁気浮上制御系が提案された.そのシステムを構築し,教育への利用の検討として活用する.
|
Research Products
(7 results)