2019 Fiscal Year Research-status Report
外来生物問題を教える博物館―動物園ネットワークの構築に関する研究
Project/Area Number |
16K01052
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Natural History |
Principal Investigator |
加藤 ゆき 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (70342946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広谷 浩子 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (10205099)
大島 光春 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (40260343)
大坪 奏 神奈川県立生命の星・地球博物館, 企画情報部, 非常勤学芸員 (40598041)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ペット外来生物 / 環境教育 / 学習プログラム / 貸出用教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年、逸出事例が頻発しているペット由来の外来生物(ペット外来生物と呼称)に関し、それらの種類や生態、生態系への影響等について正確な情報を普及するために、1.自然史博物館と動物園とが協働で生息情報データベースの構築をすすめること、2.データベースを活用し、博物館施設だけではなく学校教育等でも活用できる学習プログラムを開発することを目的とし、本年度は以下の項目について調査、研究を行った。 (1)ペット外来生物の生息状況の把握と生態情報の収集:前年度に引き続き、日本野鳥の会の支部報や同好会の会誌、博物館等の研究報告や収蔵資料、インターネットの掲示板等を調べるとともに、メーリングリスト等で情報提供を呼びかけ、国内のペット外来生物の逸出情報をまとめた。新たな逸出種は確認できなかったが、観察事例は前年度と同程度寄せられた。これらペット外来生物の生態情報を文献や有識者からの聞き取りによりまとめるとともに、データベース構築に必要な生態画像の収集をすすめた。 (2)学習プログラムの改良:これまでに試作したカワラバトおよび特定外来生物カナダガンの教材は小学中学年以上を対象としたものだったが、これを幼児から小学低学年を対象としたワークシートに改良した。ワークシートは2種類用意し、子どもが主体となって作業ができる「ぬりえ」と保護者または教員が外来種について子どもと話し合うことができる「解説」を作成し、在来種と外来種とを視覚的に区別できる内容とした。なお、このワークシートの一部は所属施設のWebサイトで公開した。また、教育機関から外来生物問題の普及のための教材の要望があったため、ハト類3種の翼標本を作製し、2校・1団体へ貸し出しを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上半期は所属機関で主催した展示の担当となり、展示の準備や関連行事等の対応が多く、本研究に関して、ペット外来生物の画像や情報収集を進めたが、教育プログラムを試行するためのワークショップ等の開催はできなかった。 また、下半期は台風や新型コロナウイルスの影響により、当初予定していたワークショップが中止となり、その成果をまとめる学習プログラム冊子の編集作業が進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は以下の2項目の作業を進め、研究のまとめとする予定である。 (1)データベースの構築:これまでに収集してきたペット外来生物に関する情報や画像の整理をすすめ、ペット外来生物データベースの構築を進める。情報収集は引き続き行うこととし、必要に応じて現地調査も行う予定である。不足する情報や画像等については、研究協力者に収集を依頼する。 (2)学習プログラム冊子の作成と貸出用教材整備:これまで協力施設等で試行した2つの学習プログラムの内容を精査し、博物館施設だけではなく学校教育等でも活用できる内容となるよう修正、加筆等を行い、学習プログラム冊子の作成と貸出用教材整備をすすめる。特に貸出用教材は教育機関からの貸し出し要望があるため、教員等と情報交換を行ないながら、標本種や動物種を選定し作製するとともに、利用しやすいシステムを整える。
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Causes of Carryover |
(理由) 当初計画していた協力施設でのワークショップが台風により中止になったこと、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため所属機関での学習プログラム冊子の編集作業が中止になったことから、旅費及び人件費を使用しなかったため残額が発生した。 (使用計画) 残額は、今年度実施できなかった学習プログラム冊子の編集・作成やデータベース構築のための人件費や謝金等に使用予定である。
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