2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K01058
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
森 一将 文教大学, 経営学部, 准教授 (10616345)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | AO方式選抜 / 項目反応理論 / 面接試験 / 合否判定支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は合否判定支援システムに関する数理的基礎の確立と、AO選抜で使われる面接試験に関する予備実験を行った。まず、支援システムに利用する数理モデル(項目反応理論;IRT)の中で、多値型と呼ばれる面接評価に適したモデルに対して近似推定法を提案し、その推定精度をシミュレーション研究によって確かめた。その結果、面接試験を想定した小~中規模のテスト環境においては提案法が適切に推定を行うことが検証された。このことにより、専用のソフトウェアを用いた複雑で高負荷な計算を行わなくても、提案法により簡便かつ高速で面接試験に関する統計モデルの母数推定が行えることが保証された。加えて、数理面から提案法を評価し、近似が成り立つ場合の数理的最適性(許容性、ミニマクス性)が成立することを定理により示した。 次に、英語科目を対象にして、「志望動機」「意気込み」など面接試験で質問される典型的な内容を大学生に回答させた結果を評定し、評定結果と学力試験の結果に差異があることを確かめた。具体的には意気込みに関する評価の高い学生は学力試験の結果が低いこと、教育経験の長い評価者はあまり多様性のある評価を行わず、評価が保守的になることなど、面接試験に関し事前には把握していなかった特徴的な傾向が明らかになった。 これらの結果は9件の学会発表(国際学会4件、国内学会5件)及び4報の論文(印刷済み3報、印刷中1報)として公開された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は当初の研究計画を若干変更して面接試験に対する予備実験を行いながら、数理的基礎を確立した。その結果、非対称損失にもとづくIRT母数の推定方法など実施できなかった部分がある半面で、実際の面接試験において評価者の教育経験によって評価傾向が偏るという事前に判明していなかった知見が得られた。平成29年度はこれらの知見を基にIRTモデルや推定法の改善を行い、より実際的なシステムの構築を目指していく。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の通り、平成29年度はIRTモデルや推定法の改善を行うことに加え、面接試験に関しより多くの評定結果を集め、評定傾向と教育経験の関係性の分析を行いシステム開発へつなげていく。
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Causes of Carryover |
統計モデルの検証用に用いるPCの購入が2017年度にずれてしまったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度にPCを購入する。
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