2016 Fiscal Year Research-status Report
力覚を伴う操作が可能な実体験追求型MRの開発と実験教育への応用
Project/Area Number |
16K01060
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
竹村 淳 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20297617)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 教育支援システム / バーチャルリアリティ / 実験教育 / 電子回路 / ものづくり |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,電子回路やロボット製作などの「ものづくり」の能力を育てるための実験教育を,高能率に遂行することを可能にする新しい複合現実(mixed reality; MR)の技術となる適応的実体験追求型MR (adaptive and experience-oriented MR; AXMR)を開発することを目的とする。提案する技術は,以下(1)-(4)の全てを可能にする点において,これからの理工系分野の実験教育に必要な幅広い用途に活用できる点で,これまでにない新しいものである;(1) 準無装着型の実現-装着する機器がほとんどなく学習や実験を妨げない。(2) 生体情報に基づく力覚提示-裸眼で見た立体映像に対して実際に操作する体験ができる。(3) 利用環境への適応-利用者(学習者)の実験環境に適応することができる。(4) 利用者の要望への適応-利用者の要望に応じて発展学習が可能となる。 平成28年度の研究では,提案するAXMRを用いた「ものづくり」実験教育の支援システムを効率良く開発するために,上記(1)及び(2)の技術要素に含まれる動作認識と実時間立体映像処理に関する研究を行った。そのために,裸眼立体ディスプレイで表示する映像コンテンツの作成を行うと共に,手の動作認識を可能にするシステムの開発を行った。この研究では,汎用のモーション・センサを導入し,ソフトウェア開発することによって,高性能の無装着型の動作認識装置を製作した。この技術により,3次元空間中において動作を行っている手と立体映像コンテンツの動きを同期させ,かつ位置合わせを可能にするための実時間立体映像処理を可能となった。さらに,力覚入力デバイスを導入して,対象物の力覚のデータベースを作成した。これらの研究成果は,次年度の研究で上記(1)及び(2)を完成させるために必要となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
提案するAXMRにおける技術要素のうち,平成28年度に研究開発することを目的としていた「(1) 準無装着型の実現」及び「(2) 生体情報に基づく力覚提示」に関わるハードウェアおよびソフトウェアの開発をほぼ予定どおりに完成できている。また,裸眼立体ディスプレイに関しては,当初の計画で導入予定であった機種の入手が困難になるという問題が生じたが,機種変更とソフトウェアの自作により設計仕様を満たすことができ,ほぼ計画通りの成果が得られた。さらに高性能なグラフィックワークステーションを組み合わせることにより,性能面で当初の仕様を上回るシステムを構築することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で開発した実時間立体映像処理の技術と力覚データベースを用いて,「(1) 準無装着型の実現」及び「(2) 生体情報に基づく力覚提示」に関する技術を発展させる。具体的には,実験の妨げとなる装置を装着することがなく,手に力覚を伴う動作と同等の体験ができるシステムを開発する。これにより,力覚を伴い対象物を動かしたり操作することと同等のリアルな体験ができるシステムを構築し,上記(1)及び(2)を完成させる。さらに,3Dスキャナによる立体データの取得する機能,及び3Dプリンタにより立体コンテンツから実体モデルを造形する機能を組み込むことによって,「(3) 利用環境への適応」及び「(4) 利用者の要望への適応」を完成させるための研究を行う。3Dプリンタは,無線で制御できる機種を採用し,(1)及び(2)との無線通信を可能にして,提案システムの使いやすさを向上させる研究を行う。また,開発システムをネットワーク中に導入することによって,大人数の実験教育への対応も検討する。
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Causes of Carryover |
当初に導入予定であったが,その後入手が困難(製造中止または価格上昇)になった機器に対し,設計仕様を満たす他の機種に変更した際に減額できた。また,他の経費の一部においても,価格の割引によるコストの節約ができ残額が生じた。これらの減額が加算されたことにより次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
成果発表(論文,国際学会)が当初の計画より増える見込みであるため,その校閲料および掲載料に使用する。
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