2017 Fiscal Year Research-status Report
技術教育的アプローチによる個別の教育的ニーズ支援と教員養成への還元
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16K01067
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
岡村 吉永 山口大学, 教育学部, 教授 (10204025)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 技術教育的手法 / 小学校理科教材 / けがき定規 |
Outline of Annual Research Achievements |
技術教育的アプローチによる学習指導方法に関する研究として,小学校第3学年「電気の通り道」で使用する教材を開発し,実際の授業で用いて効果を確かめた。従来の豆電球に代わるものとして昇圧回路を組み込んだLEDテスターを製作し児童に使用させた結果,LEDテスターは豆電球に比べて導体と不導体の判別がしやすく,授業がよく分かったとする児童の割合が高くなった。1.5Vの乾電池でLEDが点灯するようにしたことで,教科書との整合性も担保し,かつテスター全体が子どもの手の平に納まるよう3Dプリンターを用いてケースを作成したことで扱いやすさが増し,学習効果を高めることができたと考える。理科指導のなかで,技術教育的な手法が生かせる場面は多いと考えられることから,応用に向けてさらに検討を進めたい。 技術科のものづくりで使用するけがき定規を開発し,実際の中学生を対象に差し金ならびに直角定規との比較を行った。開発したけがき定規は,従来の定規に比べて作業精度が高く,未熟練者にも使いやすいことが分かった。これを受けて,さらに改良を加えたLED内蔵式の定規を製作し,より定規が正しく使えるようにした。この改良は,特別支援学校等で行う作業学習を視野に入れたもので,定規を正しく加工材料に当接した場合にLEDの点灯またはブザーでそれが確認できるものである。ただし,LEDを点灯させる効果については検証が不十分であり,今後明らかにしていきたい。なお本件については,実用新案の出願を行い,登録を受けることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
技術教育的アプローチによる教授学習支援に関し,新たに小学校理科における応用場面を見出すことができた。技術の進展により,従来当たり前に使われていた豆電球などの教材が身の回りから消滅しつつあり,これに代わる学習教材の開発が急務であること,またこの過程において技術教育的なアプローチが有効であることを確認できた。 また,技術科のものづくりに関する指導改善として開発した定規について,その新規性から実用新案登録を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究から,学校で用いる教材の開発に3Dプリンターの活用が優れて効果が高いと考えられることから,一層その応用場面に関する調査と施行を進めるようにしたい。個別的なニーズに関する研究については,やや不十分な面があるので,研究実施の方法も含め,検討する必要がある。 教師の指示と子供の理解との間に生じるずれについても,技術教育的アプローチで解消できないか,研究を通じて見えてきた具体的場面を対象に検討を進めたい。
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Causes of Carryover |
物品請求額と実納入価格の差等により生じたものである。ただし,その額は26円とわずかであり,使用計画の変更は行わない。
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