2020 Fiscal Year Research-status Report
学校カリキュラムマネジメント推進のための地域教育行政による支援モデルの構築
Project/Area Number |
16K01068
|
Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
村川 雅弘 甲南女子大学, 人間科学部, 教授 (50167681)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉冨 芳正 明星大学, 教育学部, 教授 (60550845)
田村 知子 大阪教育大学, 連合教職実践研究科, 教授 (90435107)
泰山 裕 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (90748899)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | カリキュラム・マネジメント / 地方教育行政 / 新学習指導要領 / 感染対策と学びの保障 / 資質・能力の育成と評価 / 主体的・対話的で深い学び / ワークショップ型研修 |
Outline of Annual Research Achievements |
①先行き不透明な次代を生き抜き地域を担うための資質・能力の育成に関しては、高知県「探究的な授業づくりのための教育課程研究実践事業」(2015-2017)と文部科学省「これからの時代に求められる資質・能力を育むためのカリキュラム・マネジメントの在り方に関する調査研究」(2019-2020)に関する指定校及びこの2年間ほどにおいて研究指導を行った小中高等学校を対象とした継続的な訪問調査や資料提供を通して、特に、今年度は新型コロナウイルス感染拡大の中での「感染対策」とその状況下における主体的・対話的で深い学びの授業開発、総合的な学習の時間や修学旅行、体育祭等の体験的な活動を含めた「学びの保障」の両立にかかわるカリキュラム・マネジメントの取り組みを中心に調査を行った。 ②令和元年度までのカリキュラム・マネジメントに関する研究を通して得た知識や経験がコロナ禍という不測の事態の中での「感染対策」と「学びの保障」の両立を推進する上で有効に働いていることが事例分析を通して明らかになったと共に、地方教育行政レベルの学校カリキュラム・マネジメントへの支援の重要性も改めて明確になった。 ③地方教育行政によるコロナ禍対応の学校カリキュラム・マネジメント支援の先進事例としては、県レベルでは兵庫県、市レベルでは千葉県市川市と広島県尾道市、学校レベルでは新宿区立落合第三小学校や愛知県知多市立旭東小学校、学校法人佐藤栄学園さとえ学園小学校、東京都八丈島町立富士中学校、高知市立城東中学校、福岡市立志賀中学校などの協力を得ることができた。コロナ禍のような不測の事態に対応するための地方教育行政による学校カリキュラム・マネジメントの支援モデル及び学校のカリキュラム・マネジメントの実践モデルとして、他地域や他の学校への一般化を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①先行き不透明な次代を生き抜き地域を担うための資質・能力の育成に関しては、高知県「探究的な授業づくりのための教育課程研究実践事業」(2015-2017)及び広島県「学びの変革アクションプラン」(2015-2017)、文部科学省「これからの時代に求められる資質・能力を育むためのカリキュラム・マネジメントの在り方に関する調査研究」(2019-2020)の指定校等と継続的な関係を構築し訪問調査や資料提供を通して、主体的・対話的で深い学びの授業開発、総合的な学習の時間を核としたカリキュラム・マネジメント実現の手立て・手順の開発を行った。 ②カリキュラム・マネジメント理解及び学校のカリキュラム・マネジメントを支援するための集合研修に関しては、独立行政法人教職員支援機構や石川県、兵庫県、高知県、尾道市等の教育委員会や教育センターと企画・実施・評価を行い、研修モデルプランを作成し、他地域の研修に生かしてきた。 ③地方教育行政による学校のカリキュラム・マネジメント支援の先進事例として、県レベルでは新潟県や高知県、市レベルでは上越市や愛知県知多地方、京都市、福山市、佐伯市など、中学校レベルでは青森市三内中学校区や尾道市向島中学校区において調査や開発を行い、地方教育行政による学校カリキュラム・マネジメント実現の支援モデルとして他地域や他の学校へ一般化を進めている。 ④今年度は新たな地域や学校も対象に加え、コロナ禍における「感染対策」とその状況下における主体的・対話的で深い学びの工夫、総合的な学習の時間や修学旅行等の体験的な活動を含めた「学びの保障」の両立を推進する上での地方教育行政及び学校のカリキュラム・マネジメントの重要性を明らかにすることができた。 ⑤全体会議は一回であったが、研究代表者及び研究分担者はZoomやメールによる情報交換や協議を日常的に行えた。
|
Strategy for Future Research Activity |
①広島県の「学びの変革アクションプラン」の一部の元研究指定校及び文部科学省のカリキュラム・マネジメントの調査研究の指定地域である兵庫県と広島県尾道市には今後も継続的にかかわると共に、1)教育課程全体の主体的・対話的で深い学びの授業づくり、2)総合的な学習の時間を核とした子どもや地域の実態を踏まえたカリキュラム・マネジメント実現の手立て・手順、3)全国学力・学習状況調査等による教育効果測定、の一般化に努める。(主に、村川と泰山が担当) ②カリキュラム・マネジメント理解及び学校のカリキュラム・マネジメントを支援するための集合研修(オンライン型を含め)に関しても、青森県や富山県、福井県、兵庫県、京都市、尾道市等の教育委員会や教育センターと共同的に企画・実施・評価を行った研修モデルプランの一般化を進める。(村川、吉冨、田村が担当) ③地方教育行政による学校のカリキュラム・マネジメント支援に関しては、5年間の成果を生かして、他県や他の学校への援用による一般化を行う。新型コロナウイルスによる感染拡大の影響で実施が遅れることが予想されるが、現時点では、東京都八丈島と愛知県西尾市佐久島において小中高のタテ連携及び地方教育行政と地域とのヨコ連携によるカリキュラム・マネジメント実現を構想している。(主に村川、吉冨が担当) ④2020年度末より、全国の小中学校においては「GIGAスクール構想の実現」が喫緊の課題となっている。その実現に向けての研修の内容や体制を含めた、地方教育行政及び学校のカリキュラム・マネジメントの取組に関する調査とそのモデル化を新規課題として取り組む。(主に村川、泰山が担当) ⑤研究代表者及び研究分担者はメール及びZoomにより日常的な情報交換や協議を行う。集中的な会議は年2回(9月と2月、Zoomによる)を計画している。
|
Causes of Carryover |
研究代表者の村川及び各研究分担者は、新型コロナウイルス感染拡大により実地調査を行うことができず、延期またはZoomによる調査を行ったために、研究調査の旅費を予定より減じることとなった。また、会議に関しても同様で、対面での会議は行わず、研究代表者の村川と研究分担者の吉冨と田村は日本カリキュラム学会理事会の前後に情報交換や協議を行い、全体では日常的にメールを用いたことにより会議旅費も残る形となった。 【使用計画】 ①高知県、広島県及び文部科学省のカリキュラム・マネジメントの調査研究の事業が既に終了しているので、今後の調査研究に関しては調査旅費が発生する。新規研究対象の東京都八丈島と愛知県西尾市佐久島に関しては本研究費での教育委員会及び学校への訪問調査を予定している。②最終年度(2020年度)には研究成果の2つ目の集大成として、コロナ禍対応のカリキュラム・マネジメントに関する書籍刊行を行った。今年度は予定していないが、研究の進捗状況により、成果物刊行の可能性は残されている。③全体会議を2回(9月と2月)行い、日常的にはメールとZoomにより情報交換と研究協議を行う。
|
Research Products
(12 results)