2016 Fiscal Year Research-status Report
映像教材の活用を促進するLMS機能の拡張とコース作成支援ツールの開発
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16K01069
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
大西 淑雅 九州工業大学, 学習教育センター, 講師 (50213806)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | LMS / Moodle / プラグイン / 学習時間 / Learning Analytics / コース作成支援 / 映像 / 学習履歴 |
Outline of Annual Research Achievements |
動画データのメタデータを自動生成する機能を検討するために、Moodleサーバ上のファイル情報を収集する仕組みを試作した。データベースを直接参照する方法で、基本動作を確認した上で、Moodleローカルプラグインを設計・開発し、サーバ上のすべてのファイル情報を収集できる仕組みを構築した。また、受講生の負荷状況を把握する指標として、各個人のすべての課題量や課題の提出状況などを採用した。この際にも開発したプラグインを用いてファイル情報を収集し活用する方法を用いた。同様に、各教員の課題設定状況も集約できるようになった。なお、ストリーミングサーバとの連携基盤として、Owncloudを用いる方法をプロトタイプ採用し、動作連携にはMoodle service APIを用いた方法で実現可能であることを明らかにした。 また、教員や受講生による「学習想定時間」の入力を実現するMoodleの機能拡張についても検討した。Moodle上のコメント欄や説明欄を用いて入力を行い、作成途中のコース作成支援ツールが「学習想定時間」の収集・分析などを行えるようにした。これにより、教員が想定する学習リソースの活用方法/時間と受講生の実際の学習方法/時間との差異を分析できることを確認した。なお、コース作成支援の指標として使えそうな項目をある程度検討できたため、具体的な実証評価については翌年度に行う予定である。 映像教材の活用については、所属機関で作成された講義アーカイブファイルや教員が自ら作成した動画ファイルを用いた分析・試作を行い、メタデータの自動生成の流れを確認した。なお、メタデータ項目の検討に関しては、他の関連研究を参考にIMS規格や学習履歴保存のフリーウェアなどの調査を行った。また、小型ハードウェアを用いた講義活動の記録を試行し、既存の講義アーカイブシステムの機能拡張も一部実現できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の主目標である「コース作成支援ツールの設計」は次の項目に従って研究を進めた。個々の進捗状況を以下に示す。当初の計画と若干のずれが生じたが、総合的には概ね順調であり、翌年度の研究に必要な情報・環境は整えることができている。 1.使い易い映像教材を生成する講義アーカイブシステムの機能拡張:過去の研究により開発した「フリーウェアを用いた講義アーカイブシステム」の機能拡張として、Raspberry Piを用いた講義活動の記録を試みた。この過程において、講義中における教員や受講生の様々な行動を、試作段階であるが、講義内容の重要度や理解度を推定する指標として、収集し活用できることを明らかにした。これにより、本研究の目的の一つである「メタデータ生成」の元データとしても使えることを確認できた。 2.教員が自ら作成したファイルのメタデータの追加機能:当初、研究補助謝金による外部連係インターフェース機能の試作を行う予定であったが、実践的な評価結果を多く得るために、委託業者による開発に切り替えて行った。基本機能は翌年度4月末には完成予定であるため、メタデータの生成機能の実装は翌年度に若干ずれ込むが、機能実装の目途を立てることができた。 3.Moodleとストリーミングサーバの組合せによる学習分析:組み合わせによる学習分析まで進めることはできなかったが、受講生が提出する課題ファイルの情報、アクセスログを用いた「学習時間予測」については、計画を前倒し、プロトタイプ実装まで進めることができた。ストリーミングサーバのアクセスログについても取得方法や解析プログラムの開発などを実施できた。個々の解析を組み合わせた学習分析を行える環境は整備され、Moodleにおける学習履歴収集に関する関連研究も調査できた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に検討したコース作成支援ツールの設計・開発を進める。また、ストリーミングサーバとの連携動作の確認を行うために、実証システムへの組み込みを行い、実践的な評価を行う。なお、映像教材を含んだコースデザインについて、ID(Instructional Designer)の知識を持つ専門家や大学院生の意見・コメントを踏まえて、ベースとなるデザインパターンの設計を引き続き進める。 1.映像教材を含むコースデザインと閲覧機能の開発 映像教材の閲覧機能は、カスタマイズされた専用インターフェースを持つことが多く、機能追加や変更が柔軟に変更できない。そこで、前年度のプラグイン開発の知見を活かし、Moodleのブロックプラグインとして閲覧機能を試作する。具体的には、ブロックプラグイン上に操作上のインターフェスボタンを実装し、ストリーミングサーバとの連携やMoodleのログ機能を用いた閲覧上の操作記録の収集を目指す。なお、映像表示、スライダ、再生時間などの表示は一般的なものとする。また、スライド連係表示なども、Moodle上の資料ファイルを用いて、表示させる機能についても開発を進める。 2.コース作成支援ツールの開発と試作 動画データのメタデータをはじめとする、各種関連データ・学習履歴などの活用の有効性を確認するために、実践的な学習分析(Learning Analytics) 機能を学習コースの作成ツールへの組み込みを引き続き行う。本研究では、過去の学習履歴と各教材が持つ学習予定時間、理解度データ(小テストなど) といった最小項目で、適切なコース作成支援が行えるかを明らかにしたい。そのため、簡易に取得できるデータを用いるアプローチの有効性の検証を行う。なお、比較対象としては、過去のAID (Automating/Automated Instructional Design) 研究などを参考に行う。
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Causes of Carryover |
業者による開発はコストがかかる一方、潜在的なバグが少なく品質の高いオープンソース雛形となり、次年度以降の開発の参考になる。そこで、実践的な評価結果を多く得るために、研究補助謝金による外部連係インターフェース機能の試作を取りやめ、委託業者による雛形開発に切り替えて研究を進めた。その結果、業者による納品が年度末に間に合わなかったため、次年度納品時に使用することに変更した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
委託業者による雛形開発は既に発注済みであり、次年度4月末の納品を予定している。納品時に次年度使用額を使って支払いを行う予定である。
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