英語アカデミックライティング技能育成に向けたCSCLタスク設計と指導モデルの構築

2016 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 16K01075
• Research Institution: Dokkyo University
• Principal Investigator: 飯島 優雅 獨協大学, 経済学部, 准教授 (50337838)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 深尾 暁子 国際基督教大学, 教養学部, 講師 (30286679) ; OCONNELL Gerard 国際基督教大学, 教養学部, 講師 (70245661)
• Project Period (FY): 2016-04-01 – 2019-03-31
• Keywords: CALL / 協調学習 / ライティング / デザイン研究 / 外国語教授法

Outline of Annual Research Achievements

本研究はデザイン研究アプローチによる循環的授業設計と教材開発を行っているが、初年度にあたる今年度は、まず、言語教育における最新のテクノロジー活用とデザイン研究アプローチによる研究動向の調査を、学会参加(EuroCALL, 外国語教育メディア学会)と文献研究を通して行った。次に、特に英語アカデミックライティングの基本技能である、英文要約作成技能の指導に焦点を絞り、指導法開発の第２段階を予定通り進めた。具体的には、パイロット段階で改善が必要と認められたCSCL授業設計、教材、評価ツール（ルーブリック）に修正を加えた後、複数教員による授業で実践・使用をして検証してもらい、CSCLタスク中の学生インタラクションのデータ収集を行った。また、効果測定を目的として(1)学生アンケート(2)授業担当教員と学生へのインタビュー調査、(3)学生が作成した要約文の評価をルーブリックを使って行った。学生インタアクションとインタビューデータの詳細な分析はこれからであるが、改善された授業設計があらかじめ期待された学習プロセスをサポートすることが概ね確認された。また、普段とは異なるコミュニケーションツールの使用により、通常の対面式授業では観察されなかった学生間の協調的振る舞いが認められ、このCSCLタスクの教育的利用価値の可能性を示した。さらに、協調学習作業の前後で学生が作成した英文要約を評価し統計処理を行った結果、英文要約に求められる複数の側面について有意な点数の伸びが認められ、協調学習の効果が示された。協調学習作業が、なぜその側面に効果を導くことができたのか、今後丁寧なデータ分析を混合研究法を使って進める。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成２８年度の研究計画に基づき、ニーズ分析、文献研究、CSCLタスク設計と見直しによる再設計、授業実践、データ収集と効果測定の一部実施を進めることができた。また、学習デザインの収集・共有ツールに関する情報収集と使い方の検討を、海外研究協力者と始めた。今年度の研究成果は来年度の大学英語教育学会で報告する予定である。

Strategy for Future Research Activity

平成２９年度の研究計画に基づき、平成２８年度までの授業・教材設計と効果測定をもとに修正を加え、必要が認められた場合には、さらに複数教員の授業で検証を行う。また、英文要約作成以外に、日本人大学生にとって難しい英語ライティング項目を共同研究者とともに抽出し、これに対応する詳しいニーズ分析、文献研究に基づく授業設計試案作成を行う。学習デザインの収集・共有ツールに関する情報収集と使い方を、海外研究協力者と継続して検討する。研究成果は学会発表や論文を通して発表する予定である。

Causes of Carryover

28年度にCSCL授業設計の検証用のモバイルPCを複数台購入する予定であったが、科研費申請時の額と実際の支給額の差が大きかったため、検証方法とその内容の大幅な見直しをする必要が生じた。一方、他のデータ収集とデータ分析が当初予定よりも進んだため、28年度はこちらを優先し、モバイルPCでの検証とデータ収集を次年度以降にすることとした。これに伴い、購入も次年度に行うこととした。

Expenditure Plan for Carryover Budget

CSCL授業設計の検証用のモバイルPCと管理用PC、データ分析に関わる人件費と謝金、学会出張のための旅費として使用する予定である。