2017 Fiscal Year Research-status Report
生理的指標に基づくデザインの違いによる電子テキストのリーダビリティ評価
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16K01083
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Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
鷲野 嘉映 岐阜聖徳学園大学, 看護学部, 教授 (90220855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 純子 岐阜聖徳学園大学, 看護学部, 教授 (50222766)
大石 晴美 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (50387479)
伊藤 敏 岐阜聖徳学園大学, 経済情報学部, 教授 (80130946)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 眼電位 / 瞬き |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、学習者が効率よく読解・理解・記憶可能な、すなわちリーダビリティーの高いテキストのデザインについて、各種生理学的・心理学的データを用いて客観的に示すことである。そのためには、学習効果(理解度・理解定着度等)を評価するための客観的な生理的・心理的指標を明らかにする必要がある。平成29年度においては、平成28年度の結果に基づいて、被験者が学習を妨げることなく生理的指標を測定可能となるように、眼電位測定装置を中心に脳血流測定装置(光トポグラフィ)および心拍変動測定装置との同時測定を中心にシステム調整を図った。また、その他の測定方法を探るべく、汎用USBカメラを用いて非接触的に顔の動きと心拍数を数値化するシステム開発に着手した。 眼電位測定装置を用いて、Advanced Trail Making Test (ATMT)による心理的ストレス時の生理学的データを測定することによって、学習者の読解時におけるストレス状況の把握を試みた。ATMT負荷時、すなわち精神負荷において、英文テキスト読解時同様に、脳血流、脈波計測による心拍変動解析の測定値に変化を認めた。また、高ストレスと眼電位測定装置から計測される瞬きには負の相関関係が認められた。 汎用USBカメラによるシステム開発においては、これまでの方法と同程度の精度で顔の動きと心拍数の把握が可能であることが示され、学習者の生理的な評価のみならず学習トレーニングにも有効であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、昨年度に引き続き、種々の生理学的指標を同時測定可能なシステムの開発を主眼に置いていた。 しかしながら、各種測定装置を被験者に装着させることによるストレスの影響も考慮せざるを得ず、昨年度の結果に基づいて、眼電位測定装置の瞬き検出を有効な指標として用いることとしたが、学習時における瞬きには個人差が大きく、リーダビリティーを評価するための最適な指標としての有効性が得られていない。 そのため、他の可能性を探るべく汎用USBカメラを用いた非接触による学習者の顔の変化および心拍変化を測定可能な装置の開発に着手したところである。これは、当初の予定にはなかったことであるが、被験者の測定時のストレス軽減には有効な手法であると考えられる。 また、眼電位測定装置から得られる各種指標の評価においては、これまで試みられてこなかったカオス解析を導入したが、経時的な変化をリアルタイムに確認するには必ずしも有効な方法でないことが確認された。経時的に評価可能な瞬き検出を中心に検討を進める事となった。 当初は、各種生理学的データの多変量解析を実施することを計画したが、被験者に対する測定によるストレス負荷を軽減するには、出来るだけシンプルな測定が望まれるため、その点についても当初からの計画を変更する必要があり、現在基礎的なデータの取得に努めている。このため本来の目的であるテキストのリーダビリティー評価には未だ着手できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、研究期間の最終年度となる。早急に、被験者を増やして眼電位測定装置の瞬きやUSBカメラによる顔の変化をベースに、学習効果を評価する指標を求めることが出来れば、リーダビリティー評価の研究において非常に有益であると考えられる。 同時に、種々の電子テキストを参考にして、リーダビリティの異なるテキストを作成して、上記の装置の有用性を確認する必要がある。 今年度も、学術論文をまとめるべく、得られた研究データを、国内外の学会・研究会などで積極的に発表し、多分野の専門家からのコメントをいただき、最終的な結果を得られるように研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)多数の被験者の同時測定用に複数の眼電位測定装置を購入予定であったが、基礎的なデータ取得を主に行ったため支出を見送った。また、ソフトの開発において高性能PCを購入予定であったが、支出の処理が間に合わなかった。 (使用計画)今年度は、同時測定を実施するために眼電位装置を追加購入する予定である。また、新たな方向性を探るべくUSBカメラによる測定を検討しているため、それに関連した支出が発生すると考えられる。さらには、積極的に国内外において研究成果の発表を行う予定である。
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Research Products
(5 results)