2016 Fiscal Year Research-status Report
発想支援を基盤としたアーギュメント生成カリキュラムの開発
Project/Area Number |
16K01091
|
Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
西森 章子 広島修道大学, 人文学部, 准教授 (50294012)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 根拠産出トレーニング / 裏づけ発想トレーニング / 思考支援 / 意見文 / アーギュメント / 高校生 / 大学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,(1)学習環境の適切性の検討と(2)カリキュラム開発と評価,の2点に分かれている。まず,前者については,本研究では紙ベースおよびPCベースの学習環境を開発し,この2条件を比較することで,学習環境や学習者特性(校種、学力、文章産出への自信度等)の要因が,産出された根拠や裏づけの量や質、トレーニング後に生成される意見文内容に及ぼす影響を検討する。次に,後者について,意見文作成授業(三宮 2007)を「基礎編」と「応用編」に2段階にわけ,各段階にトレーニングを配置することで,意見文生成過程と意見文の量や質に影響があるのかどうかを明らかにする。このとき、学習者の認知(知識)や自己肯定感の変容から,「考えを書き表すことへの自信度」にカリキュラムが及ぼす影響を調べる。 今年度は,目的(1)に関わる基礎研究をおこなった。具体的には,広島県下の総合大学生1年生(100名)を対象に,根拠産出トレーニング(紙ベース)を経験することによって,被験者の「マイサイドバイアス」は低減されるのかどうかを実験した。ただし,PCベースの学習環境の開発は準備中のため,比較検討の段階には至っていない。 次に,目的(2)に対し,「根拠産出トレーニング」を組み込んだ実践の検証をおこなった。具体的には,広島県下の総合大学生を対象に「根拠産出トレーニング」を導入したアーギュメント生成指導(4コマ)を実施した。この指導過程を通して,最終的な成果である「アーギュメント」の内容に変容が見られるのかどうかを検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ひとつめの理由として,データの蓄積ができたことが挙げられる。今年度は,アーギュメント生成カリキュラムの開発に関して,大学生を対象としたアーギュメント生成指導を実施した。現在,紙ベースでの「根拠産出トレーニング」を導入することで,主張に対する根拠産出が促進されるのか,最終的な成果物であるアーギュメント(論述)生成に変容が見られるのかどうかを検討している。 ふたつめの理由として,2件の学会発表報告ができたことが挙げられる。日本教育工学会第32回大会にてポスター発表「根拠産出トレーニングが高校生の意見文生成に及ぼす影響」を行い,また,日本教育心理学会第58回総会にてポスター発表「根拠産出トレーニングの効果に関する検討(2)ー学習者の「根拠産出への積極性」に着目してー」を行った。いずれの学会においても,参加者より多くの質問があり,これらの質問に答える形で,論文執筆を進めることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画のうち,発想(拡散的思考)を促す学習環境(PCベース)の開発については,現在準備中のため,こちらの学習環境を早急に設定し,予備実験をおこなう。このとき協力者(大学生20人程度)は「根拠産出トレーニング」に取り組むよう教示され、事後インタビューが実施される。同様に「裏づけ発想トレーニング」を基盤にPCベースの教材が開発され、産出される裏づけの量や質が検討される。このとき協力者について、トレーニング後に客観的事実(調査データなど)を得ようとするのかどうか、またどのような情報検索活動をおこなうのかが観察される。
|
Causes of Carryover |
2016年度において,代表者が客員研究員であり,実験データ・調査データの整理作業をする研究補助を雇用するのが難しい状況で,人件費・謝金が発生しなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度に収集・蓄積した実験データ・調査データの整理作業をおこなう研究補助を雇用する。
|