2017 Fiscal Year Research-status Report
地域連携・貢献型ものづくり協働教育プログラムの構築と実践
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16K01098
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Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
江崎 尚和 鈴鹿工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80160357)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 創造教育 / 産学連携 / 工学教育 / 地域貢献 / 伝統産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域の伝統産業である着物用の布地を染色のために用いられる型紙(伊勢型紙)製造に、レーザー加工技術を導入することを目標に実施した工学教育プログラムをさら発展させ、型紙加工以外への当該技術の応用をキーワードとして、学生と地域企業とが連携して新しい製品開発に取り組める「地域連携型・貢献型」のものづくり協働教育体制の構築を目指すものである。29年度の実施実績および成果としては以下のようになる。 1.昨年度に本研究を実施した中で、地域の産学官連携組織や本校を支援する企業組織、さまざまな業種の企業からの視点で見た新しい応用展開のアイデアを収集した。その中で、日本の伝統建造物を建築する業者からの提案で試作した木製日用品をターゲットに、伊勢型紙特有の伝統和柄を刻印した製品開発、また、地域を代表する海産物である海苔への和柄模様の加工、またプログラム参加学生の独自のアイデアによる製品開発の試みを実施した。 2.昨年度において、課題の教育プログラムとしての実現可能性を検討する目的で、カリキュラム外で実施する「課題研究」(30時間以上の取り組みで1単位)として試行を行ったのに対して、29年度は正規のカリキュラムとして組み込まれている「創造工学」(4学年2単位)として教育プログラムを実施した。計8名の学生が履修し、様々な製品開発に取り組んだ。 3.創造工学の中で創作された製品としては和柄デザインを施した木製スピーカー、木製楽器、ロールカーテン、デニム衣類、その他海苔製品など多岐にわたるが、それらについては三重県主催のリーディング産業展、鈴鹿市主催のものづくり企業展に出展し、製品に対する様々な意見や教育プロジェクトとしての評価を受けた。さらにこの取り組みに対する支援を趣旨とした、カタログリストの対象に選定されるなど、大きな成果を上げることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
29年に計画している主な実施項目としては28年度に収集した実践的な製品制作課題および新たに提案を受けた課題について、正課科目である「創造工学」のテーマとして本格的に実施することであった。8枚の学生が履修し、チームを構成した上で目標とする製品開発に取り組むとともに、その成果を地域の産業展等で発表することができた。また、また、その際に第3者の意見や取り組み、教育プロジェクトに対しての様々なコメントやアドバイスを受け、最終年度に向けたプログラムの改善へのヒントを得ることができ、当初の目標はかなりの面で達成できたものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる30年度については、29年度に正課科目である「創造工学」として実施した教育プログラムを継続して実践する。なお、この科目は高専の学科第4学年で実施する全校同時開講の必修科目となるため、学生の専攻分野にこだわらない履修を呼び掛ける。テーマ毎にプロジェクトチームを作り、共通して以下の点に配慮して実施する。 1.開発する製品(または技術)のコンセプト、市場性、製品が備えるべき要件、完成に至るまでに予想される問題点、解決方法、制作コストまでを明確にして取り組みを進める。 2.開発段階でできる限り多くの第3者の意見を収集し改善に反映させる。 3.作成した製品に対してのその魅力や第3者の興味を引き付けるような広報用プレゼンテーション資料またはビデオ映像等を製作までを一連のプロジェクトとする。 終了後は、実施内容,実施方法,実施環境や時間のほか,関連企業の教育への関与等に関して参加学生ならびに課題参加企業によるアンケート調査を実施し,教育成果の把握や最終年度に向けた教育プログラムの改善のための情報収集を行う。また最終年度に当たるために、本研究で構築した教育プログラムを自立化させるとともに継続させるための検討を行う。
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