2016 Fiscal Year Research-status Report
アクティブ・ラーニングとICT活用による授業改善のための教員研修プログラムの開発
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16K01104
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
高橋 純 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (10310757)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ICT活用 / アクティブ・ラーニング / 教員研修 / 授業改善 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)ICT 活用を前提としたアクティブ・ラーニングの事例収集・整理 計画にあった2校に加えて,1校の事例及び優れた実践者2名の実践を分析した.追加調査した理由は,PISA調査の結果,ICT活用の効果は認められないとし,この理由としてOECDより「21世紀のテクノロジーを20世紀の指導や実践に結びつけることが,教育の有効性を単に弱めることになる」と示されていることがあげられる.本研究においても,ICT活用やアクティブ・ラーニングが行われているように見えても,旧来の指導法,例えば,一斉指導の延長上にあるものを排除した結果,新たな事例を探す必要に迫られた.一方で,現状で,こういった実践は数少なく,あまり目にすることが少ない上に,見た目には大きく変わらないことから,実際に参観した経験のない教員にも分かりやすく伝えるための工夫が必要であることも明らかとなった. (2)教員研修モデルカリキュラムの開発 中教審答申,次期学習指導要領が公開されたため,それらに対応したカリキュラムづくりを行っている.特に,アクティブ・ラーニングは,「主体的・対話的で深い学び」と定義され,特に「深い学び」においては,「見方・考え方」を鍛えたり,働かせたりすることが重要とされるなど,質の高いアクティブ・ラーニングの考え方が示された.これらに対応した実践,特にICT活用はどのようなものが望ましいのか,改めて分析を行っている.その上で,教員研修カリキュラムづくりを行う見込みである. (3)教員研修パッケージの開発の試行 どのような要件を満たした教員研修パッケージが必要になるか,パッケージの試作を行い,教員養成段階の学生を対象に試行した.ICT活用の前提となる情報モラル指導をテーマとして,研修自体がアクティブ・ラーニングになるような工夫を行った.講義スライド,進行案,ワークシートなど,ノウハウが蓄積された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1人1台PCの授業での活用をますます発展させた実践者は,旧来の授業の枠組みでは捉えにくい,新しいタイプの質の高い実践を行っていることが本研究の調査で明らかとなった.これらの実践は,当然ながら,アクティブ・ラーニングが行われているが,その前提として,子供たちは,鍛え抜かれた基礎的・基本的な知識・技能を有していた.その結果,例えば,5年生の 45分の授業のみで,ワープロを用いて,600字程度の質の高い小論文を他者とも関わり合いながら仕上げていた.こういった授業が,将来像であるとしたら,アクティブ・ラーニングそのものだけではなく,その前提となる基礎的・基本的な知識・技能を鍛えるための教員研修パッケージも必要と考えられる.こういった点についてさらなる検討が必要であると考えられる. 加えて,3月に次期学習指導要領が公示され,特にアクティブ・ラーニングの定義が詳細化されたため,それらへの対応が必要となっている. 以上の事情から,若干の遅れが見られる.
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Strategy for Future Research Activity |
1)1人1台PCを活用した新しいタイプの実践に対応した教員研修(実践を教員に分かりやすく伝えるための工夫,その研修の工夫,基礎的・基本的な知識・技能等に関してどの程度扱うか等),2)次期学習指導要領への対応,3)教員養成段階における教職コアカリキュラムとの接続等,計画段階では明らかとなっていなかった点について早急に対応し,計画を進めていきたいと考えている.
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Causes of Carryover |
研究の進展によって再検討が必要となった点や,次期学習指導要領の公示等への対応等により,少し進行が遅れたことによる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は,当初計画通り,教員研修プログラムが開発できる見込みであり,そのために支出する.
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Research Products
(10 results)