2016 Fiscal Year Research-status Report
教材構造と学習者の理解特性に適した動的教材提示法の実証研究
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16K01117
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
岡崎 泰久 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90253583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 厚 東京工業大学, 情報理工学院, 特定教授 (50444120)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | プレゼンテーションツール / 手書き / 板書 / スライド / アニメーション / 授業分析 / 視線分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、プレゼンテーションツールよりも板書の方が理解しやすい場合があると考えられていることに着目し、板書のような書く過程を含んだ動的な教材提示が有用性を示す条件を、認知実験を通じて明らかにしていく。 本年度は、下記に示す通り、研究計画に従い、教材の提示の調査および分析、その結果に基づく認知実験を行い、教材提示を使い分けるための教材提示の有効性条件の仮説を検討した。 (1) 教材提示の調査:教材の提示手法の基本的特性を把握するために、当初予定していた数学に加えて、英語、国語、理科、社会においてもインターネットの活用を行い、教材提示の有効性条件を分析するための具体的事例の収集を幅広く行った。 (2)教材提示の分析:上記項目(1)「教材提示の調査」において収集したデータをもとに、板書のように書いていく過程を含んだ動的な教材提示が有効に働く条件を、最終結果をひとまとまりに提示するような静的な教材提示やアニメーションを用いたスライドによる動的提示と対比させて認知実験を行って検討し、教材の構造特性や学習者の理解度の観点も含めて分析を行い、板書とアニメーションの共通性と違いを調べた。 (3)教材提示の有効性条件の仮説設定: 上記項目(2)「教材提示の分析」の分析結果やこれまでの検討を踏まえて、動的提示手法、静的提示手法の特性を整理し、教材提示手法の使い分けのための基本的要因を検討し、使い分けのための仮説を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画として、(1) 教材提示の調査、(2)教材提示の分析、(3)教材提示の有効性条件の仮説設定を挙げ、具体的な目標として以下の三つを挙げた。下記の通りそれぞれの目標を概ね達成しており、当初の計画通りであると判断した。 (1)教材提示の調査:当初の計画では数学のみであったが、それ以外の教科においても授業の映像を集めることができ、当初の予定よりも幅広い分野でのて教材提示の調査を行うことができた。 (2)教材提示の分析:収集したデータをもとに、板書のように書いていく過程を含んだ動的な教材提示、アニメーションを用いたスライドによる動的提示、および、最終結果をまとめて提示する静的提示それぞれの特性を検討し、提示手法の違いの要因を探るとともに、実際にこれらの提示の違いを対比させるための認知実験を行い、視線の動き、被験者による主観評価、テストによる客観評価を組み合わせて分析を行い、それぞれの提示手法の特性、とくに、板書とアニメーションの二種類の動的提示の共通性およびその違いを調べ、差異が現れる条件に関する知見を得た。 (3)教材提示の有効性条件の仮説設定:今回の教材提示の分析結果やこれまでの結果を踏まえて、、板書のように書いていく過程を含んだ動的な教材提示、アニメーションを用いたスライドによる動的提示、および、最終結果をまとめて提示する静的提示それぞれの特性を整理し、二種類の動的提示および静的提示それぞれが有効にはたらくための基本的条件に基づく仮説を検討して、次年度以降の実験への礎を築くことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は概ね計画通り実施できているので、今後も当初の予定通りこれまでの研究成果を踏まえ、実証実験に向けた実験デザインと予備実験を行う。 (1)実証実験のデザイン: 初年度に行った教材提示の調査・分析に基づいて、教材提示の有効性条件の仮説を検証するための実験のデザインを行う。教材提示の実験では、教材構造の特性、学習者の理解特性の観点から多くの要因が関係するため、それらをコントロールして、目的を達成するための実験を慎重に検討する。 (2)予備実験: 上記項目(1)の結果作成された実験デザインに基づき、予備実験を実施し、その手法の妥当性の検証や実施に関する問題点の洗い出しを行い、改めて本実験のデザインを再構成する。実験にはこれまでの実験同様、課題テストやアンケート調査に加えて、アイトラッカーによる視線分析も行う。予備実験の結果を踏まえて、実証実験のデザインを再検討し、本実験に向けた実験デザインを行う。
さらに、これまでに得られた知見を学会等で発表する。
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Causes of Carryover |
既存の物品を活用することにより、物品の購入経費を抑えたことと、研究成果の発表を行った研究会の開催場所が近隣であり、旅費が当初見込みよりも少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
タブレット型パーソナルコンピュータ等研究の遂行に必要な物品の購入を行うとともに、研究成果の発表を行うために使用する。
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Research Products
(5 results)