2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K01124
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Research Institution | Chiba University of Commerce |
Principal Investigator |
柏木 将宏 千葉商科大学, 国際教養学部, 教授 (90320704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 大輔 千葉商科大学, 商経学部, 准教授 (20339609)
坂田 哲人 帝京大学, 公私立大学の部局等, 助教 (70571884)
小林 直人 千葉商科大学, 商経学部, 講師 (80434364)
鎌田 光宣 千葉商科大学, 人間社会学部, 准教授 (90383372)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 情報基礎教育 / 情報リテラシー / 情報教材開発 / 共通教育 / 振り返り / LMS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、初年次悉皆形式の情報教育である情報基礎教育の新しい学びのあり方について追究し、その実践方法の開発を目的としている。情報基礎教育は、その教育方法の特徴から「実習内容」と「学修成果としての実践的な知識の獲得」が必ずしも結びつかないという課題にしばしば直面するが、その学修プロセスの中に「振り返り」の活動を取り入れることによる意義と効果について追究を試みる。 (1)情報基礎教育の現状レビュー まずは教育方法の開発とその研究基盤環境構築の観点から、現状の情報基礎教育における実践上の課題整理のための基礎調査を全学的な規模で行った。本学初年次生の情報関係の知識、技術、態度に関する現況を質問紙調査によって把握し、分析を行った。加えて、初年次の情報基礎教育の定着状況を把握するために、3年次生に対するIT操作実技の技能レベル調査も実施し、結果の集計と分析を実施した。これらの成果は、学会で発表を行った。また、20名を超える本学の情報基礎教育の担当者に対し、共通テキストのサブセクションの粒度で授業中に取り扱った内容に関し、その扱いのレベルを確認する調査も実施した。更に、毎年本学で作成している情報基礎教育のテキスト「大学生のための情報リテラシー」を、本研究の取り組みを踏まえて内容を大幅に改訂して発刊した。 (2)LMSの導入 情報基礎教育における学習の定着を目指す「振り返り」を中心概念に据えた学習のモデル開発にあたり、そのデータ蓄積のための学習者入力用LMSを導入し利用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)情報基礎教育の現状レビュー 本学の情報基礎教育を本研究の最初の実践フィールドとして取り組んだ。まずは基礎調査として、全学の初年次情報基礎科目の履修者に対して、授業の最終段階に学修状況に関する質問紙調査を実施し、全クラスからの回答を得た。結果として、当然のように習得や知識の獲得が期待されている項目、あるいは共通テキストに掲載され、教授実施が期待されている項目であったとしても、その習得率には数値の上下やばらつきが生じていた。その理由は項目ごとに、比較的低い数値を示すクラス(学習集団)が存在ていること、および、授業内で取り扱われているものの学習活動が定着せず時間経過によって知識技術を失ってしまったという事実が存在すること、が考えられる。3年次生に対するIT操作実技の技能レベル調査は、タイピングとオフィスソフト(ワープロ、表計算、プレゼンテーション)のスキルテストを実施した。被験者は、複数学部・学科の42名であった。スキルテストの問題は共通テキストに掲載されている課題であったが、正解率が二、三割と低く留まった内容がいくつか見られた。タイピング速度が速くなるほど、オフィスソフトのスキルテストの正解率も高くなる傾向が見られた。 これらから、本学においても、本研究における問題意識としている学習の定着に関する課題が浮き彫りとなった。なおこの結果については、2016年12月の第11回パーソナルコンピュータ利用技術学会全国大会において報告を行った。 (2)LMSの導入 本学の教務系システムの更新に伴い、同じプロダクトのLMSも導入され、これを利用した。LMSの利用にあたっては、情報基礎教育担当者の運用負担を極力軽減するように留意し設定を実施した。2017年4月より、全学の情報基礎教育科目で、履修者による毎回の振り返りの入力が行われている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)情報基礎教育の現状レビュー 平成28年度における研究成果を反映して、より精密な現状把握につとめ、その分析により課題点を絞り込む。具体的には、学習者の講義受講前時点と受講後時点それぞれでの学修状況調査およびITスキルテストの結果、担当教員に対する授業取り扱い内容の調査の複数の側面から相互分析を行う。また本学の情報基礎教育学修における「振り返り」活動の有効性について、LMSに蓄積されたデータを元に、その仮説の検証を行う。 (2)プロトタイプの実装 上記の内容・結果を踏まえながら、課題解決のための教育方法開発とその実践に取り組み始める。研究代表者や分担者のクラスを中心として、担当教員からのフィードバックの仕組みを構築し、合わせて文献調査や事例の収集等を通じ、理論的な枠組みを精緻化してプロトタイプを構想し、また評価指標の開発を試みる。 (3)情報基礎教育用LMSの運用、ITスキルテストツールの導入 平成28年度に導入・設定した情報基礎教育用のLMS環境を運用する。その結果を踏まえ、運用上の不具合が見つかった場合には、システムの改修を実施する。また、ITスキルテストの実施では、その採点や結果集計での手間が問題になった。この解決のために、簡便かつ正確に評価・集計できるシステムの導入を行い、スキルレベルの計測を精密化する。
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Causes of Carryover |
大学の教務システムの更新タイミングと重なり全学的なLMSの導入が叶ったことにより、データ収集用サーバーの新規設置が不要となり、運用の人件費・謝金が不要になったため。また、学会発表が近郊で行われたことや他大学の教育環境視察の実施などを行わなかったこと等から、旅費の執行や記録用機材等の導入を見送ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究活動を通じて必要性が生じたITスキルテスト用システムの導入と、運用を通じて必要性が発生した場合にはLMSのシステム改修を行う予定である。またこれらの運用業務補助を依頼するための人件費・謝金として使用する予定である。
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