2017 Fiscal Year Research-status Report
正課教育とラーニング・コモンズにおける学習支援の連環を促す学習環境デザイン
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16K01143
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
岩崎 千晶 関西大学, 教育推進部, 准教授 (80554138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 正行 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (30351258)
山田 嘉徳 大阪産業大学, 全学教育機構, 講師 (60743169)
山本 良太 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 特任助教 (00734873)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ラーニングコモンズ / 学習支援 / 大学教育 / チューター / 研修プログラム / SD / FD / eラーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題①「正課と学習支援の連環によるディープラーニングを促すデザイン要件の提示」に関しては、日本語ライティングにおいてライティングセンターを活用した学習者の個別傾向を分析し、リピーターへとつなげるための学習支援の手立てを検討した。また学習の深化を目指し、ICTを活用したライティング指導の実践研究を行った。学習支援には、個別指導に加えて、自主学習用の教材開発も含まれるため、英語・日本語ライティング教材を開発し、正課と学習支援の連環による学びの深化に取り組んでいる。 「研究課題②多様なアクターが関わるラーニング・コモンズにおける学びのプロセスモデルの提示」では、各大学がどのように学習者の学びを評価しているのかについて調査を行った。具体的にはCiNiiを活用し、ラーニング・コモンズの評価を扱う論文66件を分析した。調査の結果、質問紙調査、観察調査、インタビュー調査の順で調査法が採用され、量的な調査が75%を占めた。今後、学びのプロセスや成果を明らかにするためには、質的な調査やラーニング・コモンズにおける理念(育むべき学習者像)に関する議論の重要性を示した。特に学習成果に関しては汎用的な能力が評価指標となっていたため、本研究で指摘した学習者にとっての学習概念の更新を促す「照射」の概念を取り入れる必要性を確認した。 「研究課題③学習支援を提供する組織における学生スタッフを含めた教職員を対象としたSD・FD研修プログラム・eラーニングの開発と評価」では、教育の質保証、授業設計、評価方法、ICT活用、学習環境をテーマに研修プログラムを開発し、運営・評価をした。またライティング研修の中から、ライティングの理念・学習支援の歴史等のプログラムをeラーニング教材として提供するための資料教材を完成させた。またライティングの学習支援に関する指導モデルを提供するため、eラーニング教材を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究課題①正課と学習支援の連環によるディープラーニングを促すデザイン要件の提示」に関して:先行研究を基に、質問項目を確定させ、数校を対象にヒアリング調査を実施している。加えて、学習の深化を促すためにICTを活用したライティングの教授方略についても知見を得つつあるからである。 「研究課題②多様なアクターが関わるラーニング・コモンズにおける学びのプロセスモデルの提示」に関して:昨年度は事例研究にとどまっていたため、今年度はラーニングコモンズの評価に関する論文を分析し、大学がラーニングコモンズにおける学びをどう評価しようとしているのかに関する動向を明示化できた。質的な事例研究に加えて、量的な研究としての論文の傾向分析、ならびに質問紙調査の準備もできているからである。 「研究課題③学習支援を提供する組織における学生スタッフを含めた教職員を対象としたSD・FD研修プログラム・eラーニングの開発と評価」に関して:今年度は、昨年度開発したSD/FDプログラムを実施し、参加した職員・教員・学生スタッフを対象に評価を行った。また、ライティングチューターに関する研修が定着しつつあるため、その中からより汎用的な内容をeラーニング化し、他大学にも提供する準備を行っている。現在は資料教材まで開発を終えている。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究課題①正課と学習支援の連環によるディープラーニングを促すデザイン要件の提示」に関して:大学を訪問してインタビュー調査を進めているが、信頼性・妥当性を確保するため、質問紙調査を実施することにしている。質問紙調査を確定させたため、その調査を進めるとともに、インタビュー調査も継続して行うことで、信頼性と妥当性に配慮した研究成果を導きたい。 「研究課題②多様なアクターが関わるラーニング・コモンズにおける学びのプロセスモデルの提示」に関して:具体的な文脈から学びのプロセスを検討する事例研究に加えて、大学全体におけるラーニングコモンズにおける学びのプロセスの把握や動向についても調査を進めていき、よりよい学習支援環境モデルを提示する。 「研究課題③学習支援を提供する組織における学生スタッフを含めた教職員を対象としたSD・FD研修プログラム・eラーニングの開発と評価」ではプログラムの開発・実施をしている。今後より良いプログラムを開発するために、参加者に聞き取り等を行い改善していく。加えて、他大学が活用することができるようにeラーニングの提供をすすめる。
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Causes of Carryover |
研究の信頼性と妥当性を確保するため、ヒアリング調査に加えて、新たに質問紙調査を実施することにした.そのための使用額を残すために次年度試使用金額が生じた.2018年度は,質問紙調査,その分析を実施するための費用として利用する計画としている。
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Research Products
(23 results)