2016 Fiscal Year Research-status Report
保育・教職志望者のピアノ授業と個別学習を連携する演奏eポートフォリオの開発と実践
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16K01148
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Research Institution | St.Margaret's Junior College |
Principal Investigator |
田中 功一 立教女学院短期大学, 幼児教育科, 准教授 (10413006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 靖彦 放送大学, 教養学部, 准教授 (10392292)
小倉 隆一郎 文教大学, 教育学部, 教授 (60177201)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ピアノ演奏評価 / 演奏分析 / 見える化 / 可視化 / ピアノ学習 / MIDI録音 / 自学自習 / デジタルピアノ |
Outline of Annual Research Achievements |
学習者とその指導教員のピアノ演奏状況をグラフで比較する演奏見える化ツールを独自に開発した。このツールによる振り返り学習の実践を初学者32名(新入生)に行った結果、学生の振り返り記述の読み取りから、本システムの活用可能性が示された。 開発したシステムの概要は①「ピアノ演奏見える化ツール」というデジタルピアノのMIDI出力情報であるテンポ、リズム、音の強さ、音の長さをグラフに示して学習者へフィードバックするシステム、②「MIDI録音プログラム」というデジタルピアノとタブレットを接続して演奏録音情報を①へ送信するシステム、この②と①の連携により、見える化した演奏情報のグラフをMicrosoft Edge画面に表示し、その画面へ演奏注意点などを描画し、画面を切り取ってデジタルノート(Microsoft One Note)へ転送し、学習者がデジタルノートへ振り返り感想を記述し、最後に教員がコメントを記述した。 実践の流れは、ピアノの譜面台に8インチWindowsタブレットを2台並べ、学習者は一方のタブレットで教員の模範演奏動画や楽譜を見て個人学習を数十分行い、その後もう一方のタブレットを使って前述②の録音を行い、①によるピアノ演奏の分析と振り返り記述を行った。②は3回の操作、すなわち自身の演奏の「録音開始」、録音の「停止」、デジタルノートへの「送信」という簡易な操作で進められる。録音中はランプが点滅して録音中であることを学習者へ知らせる。①で使用するデジタルノートはWindows10付属のOneNoteを使用し、教員が編集する際はOneNote2016を使用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独自に開発した演奏分析システムによる実践が予定通り行われたこと。実験参加者が32名集まったこと。学生の振り返り記述の読み取りから本システムの活用可能性が示されたこと。「ピアノ演奏見える化ツール」の動作が順調であったこと。デジタルピアノのMIDI出力とタブレットの接続と通信ができたこと。学習者へのフィードバックが分かりやすいグラフで示せたこと。「MIDI録音プログラム」が簡易な3つの操作で行われたこと。Microsoft Edge画面上で描画したり切り取ったり簡易に加工できたこと。Microsoft Edge画面からMicrosoft One Noteへの転送が指定したページへできたこと。タブレットを2台並べることで視覚教材と分析画面を同時に表示できたこと。録音中はランプが点滅して録音中であることを学習者へ知らせたこと。 これらにより本研究が概ね順調に進展していると捉えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目は学習者の振り返り記述の内容から学習の様子を確認することで、ピアノ演奏見える化ツールを使う学習の活用可能性を示した。このような感想記述の直観的な捉え方に対して、2年目は質的分析を行う。すなわち、そこに記述された語句から新たな概念を関連づけて文脈を整理し、さらに文脈を一般化し、最後に理論化して記述をまとめる。理論化された内容を複数の学習者について比較し検討する。 また、1年目の学生の振り返りのタイミングは教員の声がけ時であったため、教員の発話が学生の振り返りに影響を及ぼした可能性も否定できない。そのため、2年目の振り返り記述のタイミングは、①学生の演奏へ教員がアドバイスした後、②学生が実演を録音して聴いた後、③自身と教員の分析グラフを見た後、さらに①②③の総合的な振り返りの計4つの振り返りとし、教員が介在しない環境下で学生が独りで記述することでより内省的な振り返りを行う。 これらの検討により、学生の学びがどのタイミングで進められるのか検討を進める。開発中のシステムが、学生が次の学習に進んだ時も学習が継続できるように改善し、本研究が目指す「循環型実技スキル学習共有化システム」の構築を目指す。
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Causes of Carryover |
2016年は人件費、謝金の支出を行わず、旅費及びその他の支出を予定より若干おさえたことにより残額が生じた。それ以外は応募内容ファイルに示した研究計画・方法(概要)に沿って進めることができ、研究費の使用は概ね計画内で行われた。2017年以降も当初計画通り進めることになる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年は「演奏見える化ツール」のシステム改善のため、プログラミングなどの業務委託費として60万円を予定している。改善内容は、学習者履歴からの振り返りと録音再生の機能、複数校が活用するためのログイン機能の追加とし、翌年はLMSによる学習管理機能の追加である。学会発表は2016年と同様に予定している。
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Research Products
(7 results)