2018 Fiscal Year Annual Research Report
Logical and philosophical research on causal inference of randomization design and of Bayesian network analysis
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16K01165
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
森元 良太 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 准教授 (70648500)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 統計学の哲学 / 科学哲学 / ランダム化比較実験 / ベイジアンネットワーク / 因果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、科学における代表的な2つの因果の推定法である「ランダム化比較実験」とベイジアンネットワークによる統計的因果推論」を考察し、それらの因果推論の論理構造、哲学的意義、思想的背景を明らかにするものである。 平成30年度は因果推論の思想的背景の探究を中心におこなった。ランダム化比較実験を考案したR.フィッシャーの思想的背景を調査するため、フィッシャーの一次文献やフィッシャーに関する思想史の文献を調査した。それにより、フィッシャーは科学について保守的な態度であることが明らかになった。フィッシャーは、真偽のわからない仮説を採択するような大胆な態度を科学で採るべきではないと考えていた。彼によると、科学の営みは新たな仮説を形成し、それを棄却し続けるものである。 一方、、ベイジアンネットワークのもとになっているパス解析を考案したS.ライトの思想的背景を究明するため、ライトの一次文献やライトに関する思想史の文献を調査した。それにより、ライトが科学ではすべての可能性を考慮し、直接的な因果関係を明らかにすることが理想的な方法と考え、そのための数学的手法を提示したことを明らかにした。だが、ライトの方法は因果関係を特定するというよりも、因果関係を想定したうえでの、因果関係の効果の大きさを測るものであった。また、当時はフィッシャーの実験計画法による因果の究明法が主流であり、ライトのパス解析による因果推論はほとんど無視されたという歴史的背景も明らかにした。
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