2016 Fiscal Year Research-status Report
日本における産業技術基盤の形成と情報通信技術を通じたその進化
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16K01170
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山崎 文徳 立命館大学, 経営学部, 准教授 (70411204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 真悟 立命館大学, 経営学部, 准教授 (10623358)
永島 昂 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (10733321)
杉本 通百則 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (40454508)
田口 直樹 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (60303252)
兵藤 友博 立命館大学, 経営学部, 教授 (20278477)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 産業技術基盤 / 情報通信技術 / 電子化 / 自動化 / 機械技術 / 装置技術 / 科学技術政策 / 航空宇宙産業技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度の研究実績としては下記の4点を挙げることができる。 1.年度内に3~4回程度の対面による研究打合せとメールによる打合せを行い、研究会で扱う内容の設定、調査先と調査内容の設定を行なった。 2.メンバーそれぞれは、当初設定した分担、つまり機械産業技術、工作機械・金型産業技術、石油化学技術、鉄鋼・鋳物産業技術、科学技術政策といった分野ごとに個別の研究やヒアリング調査を行なってきた。 3.1年間の研究活動を総括する意味で、包括的な研究会を2月27日に立命館大学OICキャンパス(AC341)で行なった。各研究メンバーがそれぞれの担当分野における1年間の研究成果を報告すると同時に、共同研究として研究プロジェクトを収斂させる方向を議論し、研究目的に沿ったより具体的な方向性を共有することができた。具体的には、近年、製造業におけるIoTとして注目を集める建設機械メーカーを対象にして次年度以降、理論研究と実態研究を進めていき、ヒアリング調査も行なうことを決めた。 4.メンバーが共通で行うヒアリング調査として、3月10日に川崎重工業株式会社の名古屋第一工場を訪問した。ボーイング社の1次サプライヤとして大型旅客機の機体構造を製造する川崎重工業の技術的特徴及び電子化・自動化の画期を、1980年代に開発されたボーイング767、90年代に開発されたボーイング777、2000年代に開発されたボーイング787という開発機ごとに把握することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、日本における産業技術基盤(素材、部品・機械、資本財の産業技術)の形成を、最終製品と産業技術基盤の産業・技術特性をふまえて歴史的・構造的に把握し、その上で情報通信技術の産業利用、つまり製品と産業技術の自動化・電子化を明らかにすることである。そのために、まずはメンバー各自がそれぞれの研究対象について理論的、実態的に分析することが前提であり、その上で日本における産業技術基盤の全体像を描き出す必要がある。 その準備作業として、まず各自が自身の担当分野に関する研究を進めることができ、それぞれが研究成果を出してきた。次に、包括的な研究会を年度末に行うことによって各自の成果を共有するとともに、全体としての方向性を具体的に定めることができた。最後に、プロジェクトで想定していた産業技術の一つである航空宇宙産業技術について、共同調査を行い、具体的事象についてもメンバー同士で共有することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、産業技術基盤(素材、加工部品、資本財などの産業)の形成と進化を、情報通信技術の産業利用との関係で明らかにするための理論研究を進める。その中で、順次、既存研究のサーベイの段階から、本研究グループとしての理論枠組みの構築に研究課題を移していく。 産業技術に関する実態調査としても、前年度に引き続き、機械産業技術、素材型産業技術、資本財産業技術が集積する地域を中心として、代表的な企業のヒアリング調査を行う。具体的にはまず、近年、製造業におけるIoTとして注目を集める建設機械メーカーを対象にして、その開発・生産プロセスと情報システムに着目しながら、理論研究と実態研究を進め、ヒアリング調査を行なう。 なお、企業調査が先方の事情により受け入れられない可能性、計画通りにはいかない場合も考えられるが、この不測の事態をできるだけ少なくし、かつ代替性を高めるために、複数の調査先を選定すると共に、早めに依頼することを心がける。また実態調査、文献・資料・統計調査の結果、当初の仮説とは異なる研究結果が出てくることが十分に予想される。その際には、研究打ち合わせや研究会で、情報共有、進捗状況を確認し、適宜方針等 の修正を図ることで、随時仮説を修正しながら進める。
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Causes of Carryover |
何人かのメンバーは、研究計画と学内業務の関係から2016年度に十分に資金を使用しきれなかった。また、3年間を見越した研究計画として、2017年度にまとまった資金を使用することを考えていたため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度に予備的調査を行なっていた研究対象に対するヒアリング調査にともなう旅費、日当、またそのために必要な理論書や報告書などの購入費用として次年度使用額を使用する。
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