2016 Fiscal Year Research-status Report
福島県の地域社会の復興と活性化を推進する地域総合資料学
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16K01176
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| Research Institution | Fukushima University |
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Principal Investigator |
阿部 浩一 福島大学, 行政政策学類, 教授 (70599498)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | 地域資料 / 地域総合資料学 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東日本大震災および福島第一原発事故により顕在化した地域の抱える諸問題に起因する地域資料の劣化・散逸・消滅の危機を打開し、多様な資料の保全と情報集約ならびに公開等の活動を通じて、地域資料全体が抱える課題を解決しようとするものである。あわせて、これらの活動の過程において、まちづくりや地域活性化に寄与し、総合的な地域課題の解決に結びつける「地域総合資料学」の有効性を実証することを目的とする。
平成28年度は、福島県全体に関わる資料所在情報を整理し、緊急災害時の備えとするため、研究補助員の助力を得て、『福島県古文書緊急調査報告』に掲載されている市町村ごとのリストをデータ化し、『福島県史資料目録』の収録内容をデータ入力した。また、市史刊行後20～30年以上経過している福島、郡山、いわき市で、市史刊行後に発刊された地域史関連書に掲載されている古文書及びその所蔵者に関するリストを作成した。最終年度の報告書に収載予定である。
次に、予め設定した地域モデルに関して、Ａ中通り地域で、国見町小坂地区での個人所蔵資料を調査し、その成果を次年度以降に郷土史研究誌に投稿する予定である。また、福島県立美術館学芸員等との共同による矢吹町での個人蔵美術品調査、飯坂温泉での個人像古写真保全といった新たな取り組みも始まった。Ｂ旧警戒区域では、７月に避難指示解除となった小高区での史料調査に備え、『小高町史』刊行後に発刊された地域史関連書や『おだかの歴史』に掲載されていた古文書等所蔵者のリストアップを行った。Ｃ中山間地域では、調査対象とする金山町で、『金山町史』に掲載されている古文書及びその所蔵者のリスト化を行い、『金山史談』の収録内容をデータ入力した。また、民具調査に備えて『会津の民具』掲載の民具のリストを作成した。金山町との民具調査では福島県立博物館学芸員の協力を得て、次年度以降も継続して実施する。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度に公表した成果は、いずれも前年度までの挑戦的萌芽研究（24650584）および研究分担者として関わっている外部科研（26220403）のものであった。平成28年度の新たな研究成果は、12月の第３回全国史料ネット研究交流集会・愛媛での口頭報告「ふくしま史料ネットの新たな試み」であり、これは平成29年度中にまとめられる予定の報告書に掲載見込みである。また、これまでの富岡町と福島大学の連携による歴史資料保全活動の成果と課題を議論したシンポジウム記録および富岡町副町長との対談が、富岡町ほか編『ふるさとを 想う まもる つなぐ』にまとめられたことは、本科研にもつながる重要な成果であった。
しかしながら、当初予定していた県内自治体へのアンケート調査は未実施に終わってしまった。これについては、平成29年6月にシンポジウムを開催し、県内自治体関係者の参加を促した上で、あらためて実施する手筈である。また、考古学・自然史との連携も不十分であったことから、平成29年度は態勢を整えなおした上で研究目的の遂行をはかりたい。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、引き続き福島県内全体での既存の所在情報の収集につとめ、自治体史編さんから数十年が経過し、すでに所蔵者の代替りも進んでいる地域資料の追跡調査を進められるような体制を整備していく。所在情報の整理については考古学、自然史との連携も視野に入れていることから、協力体制の再構築をはかりつつ、研究課題を遂行していく。
地域モデルについては、Ａ中通り地域では、地震による家屋倒壊によって地域資料の滅失が進んだとされる国見町での資料調査を通じて、地域住民と保全・継承・活用のあり方について模索する活動を継続する。当初は予定していなかったが、新たに加わった美術品調査や、古写真をもとにした地域資料の保全・収集についても継続する。Ｂ旧警戒区域では、福島大学と連携している富岡町の地域資料の分析を通じて、新たな地域史像の創出に取り組む。Ｃ中山間地域では、民具記録整理を継続するとともに、古文書などの地域資料の保全・継承に関わる地域課題に取り組んでいく。
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| Causes of Carryover |
美術品、古写真など新たな調査研究対象の拡充にともない、研究補助者への謝金等が増えることが予想されたため、デジタルカメラなどの機器類の購入を見合わせた結果、逆に予定より少ない使用額となった。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度も調査研究等での謝金等に使用する額が当初予定を上回る可能性があるため、進捗状況を見ながら、デジタルカメラなどの機器類の購入を再検討しつつ、適正な執行を心がける。
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Research Products
(2 results)
