2016 Fiscal Year Research-status Report
文化財収蔵のための緊急時における非文化財収蔵施設の活用調査と低コスト運営法の開発
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16K01185
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Research Institution | Tohoku History Museum |
Principal Investigator |
芳賀 文絵 東北歴史博物館, 学芸部, 学芸員・技師 (80754530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 規 東北歴史博物館, 学芸部, 研究員 (00754186)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 保存環境 / 一時保管施設 / 収蔵庫 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、①非文化財収蔵施設の運営方法、環境調査の実施、②低コスト環境管理法開発調査のための木材の調湿性についての調査を実施した。 ①では、宮城県内非文化財収蔵施設(石巻市仮収蔵庫、南三陸町仮収蔵庫、村田町仮収蔵庫、涌谷町収蔵庫、東北歴史博物館浮島収蔵庫)にて環境調査(温湿度、生物、浮遊菌)を実施した。その上で、各施設の温湿度傾向と浮遊菌及び特にチャタテムシなどの指標となる虫との関係性の有無を確認し、それらが施設設備環境、運営管理方法などとの関連性を調査した。以上のことにより、複数の非文化財収蔵施設における環境基礎データの収集、また今後それぞれの施設特性に合わせてより適した運営を実施・提案するための調査ができた。 ②では、恒温恒湿器等を使用し、異なる樹種における木材調湿性を調査するための基礎実験を実施した。文化財収蔵庫にて使用される一般的な木材3種(キリ、スギ、ベイスギ)について、まずその調湿性の差を調査した。その結果樹種により調湿性に差があることと、より収蔵庫運営に適当な湿度を維持するには、環境によりその樹種を選択する必要がある可能性が示唆された。また、調湿性を調査すると同時に、今後環境改善を実施する非文化財収蔵施設内を想定した実験を実施するための基礎条件検討を行い、気密性が低い環境における木材活用を評価するための試験条件を確認した。これらにより、今後最終目的である低コスト運営法の対象として木材パネルを作製、評価を行うための基礎データの蓄積ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画であった、低コスト環境管理方法開発調査のための木質系材料の調査がやや遅れている。複数の樹種の選択が遅くなったため、調湿性以外のカビの抑制、形状に着目した動向の確認調査が不十分である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、当初の計画通り、①平成28年度から継続して非文化財収蔵施設調査を実施し、②低コスト運営方法検討のための調査実験、③非文化財収蔵施設における環境改善及び評価を実施する予定である。②の調査実験については、平成28年度においてやや進行状況が遅くなっているため、木材の調湿性、カビなどの抑制についての調査を速やかに実施し、それと並行して簡易施設モデル作製を行う予定である。
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Causes of Carryover |
調査訪問施設担当者との調整から、予定よりも旅費を使用した調査の実施が遅れた。また、それに伴い、それら施設環境を対象と考えた基礎実験もやや実施が遅れ、資材の購入が実施できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に訪問できなかった調査対象施設等への調査を平成29年度前期を中心に実施する予定である。また、基礎実験については、平成29年度実施予定の実験と同時進行の形をとり、行う予定である。
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Research Products
(1 results)