2017 Fiscal Year Research-status Report
フレームレス超高解像度映像による東京オリンピックの博物館資料化
Project/Area Number |
16K01195
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
尾久土 正己 和歌山大学, 観光学部, 教授 (90362855)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 博物館情報学 / プラネタリウム / スポーツ映像 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2020年(平成32年度)に開催される東京オリンピックをこれまでのテレビ映像のように、競技中の特定の選手だけを記録するのではなく、フィールド内やベンチにいるすべての選手、関係者、また、観客席で応援する市民、さらには、将来有形の文化財となるであろうスタジアムの建築物まですべての風景をフレームレスな超高解像度映像として記録し、博物館資料にするものである。具体的には、全国に300館以上あるプラネタリウム館のドームスクリーンに投影できる映像コンテンツとして東京オリンピックのレガシーにすることである。今年度はオリンピック組織委員会や各競技団体などのスポーツ関係者、さらにはメディアなどの協力を得て、様々なスポーツ(野球、バレーボール、ウェイトリフティング、体操)をドーム映像として記録し、ドームスクリーンに投影する実験を行った。また、視聴者によるドーム映像の評価指標として感性工学で用いられるSD法を使うことで、映像コンテンツという主観的な対象を客観的に評価できることを明らかにした。さらに、研究団体や内閣府や総務省の協力を得て、東京都内のプラネタリウム館を借り切り、スポーツ映像だけでなく、観光映像も含めた上映会を2度開催し、多くの視聴者からの評価を得ることができた。加えて、ドーム映像としてはダイナミックレンジの広さでもっともリアルな表現が困難な皆既日食の映像を各地のプラネタリウム館の協力を得て投影実験を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終目標である東京オリンピックのフレームレス映像としての博物館資料化であるが、実現のための前提として、国内のオリンピック組織委員会(その先にはIOC)の同意が必要である。その先には、放送関係者(国内ではNHKや民放からなるジャパンコンソーシアム、国際ではオリンピック放送機構OBS)との同意、さらにはスポンサー企業(特に映像機器メーカー)の同意が必要になる。そのため、今年度はこの多くの組織との調整作業に多くの時間と労力をかける結果になった。結果的には、すべてのレベルの調整が終わっておらず、最終的な目標が達成できるか不透明であるが、多くの関係者と交渉をすることにより、オリンピック映像に関わる権利の構造を理解することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度である平成30年度は、オリンピック映像の権利の問題を引き続き交渉するとともに、最終目標であるスポーツの8K解像度でのドーム映像化を完成させ、その効果を従来の4K解像度との比較、近年急速に普及してきたヘッドマウントディスプレイを装着したVR映像との比較をSD法や視線測定などの手法を用いて行い、プラネタリウムのドームスクリーンで見るスポーツ映像の博物館資料としての優位性を明らかにしたい。
|
Research Products
(4 results)