2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K01197
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
中川 麻子 大妻女子大学, 家政学部, 准教授 (60468329)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 手芸 / 女子教育 / 技芸学校 / 刺繍 / 美術刺繍 / 美術染織 / 明治時代 / 大正時代 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は基礎的な作業として、資料整理およびデータベース作成を中心に行った。大妻女子大学博物館所蔵の手芸作品約400点はファイルメーカーによるデータベース化を行い、大学出版物および大学カリキュラムとの照合を行った。大妻女子大学に所蔵されている手芸作品は、学生名、手芸技法、学校名から、大正時代末期から昭和時代前期の作品が中心となっていることが明らかとなった。刺繍の大型作品で現存するものは少ないが、レースやビーズといった服飾の装飾に適した手芸作品の所蔵が多く、実践的なカリキュラムの傾向が見えた。 また他大学の手芸作品については、これまでに収集した資料の整理と作品分類を行った。これと平行して、大正時代の女子手芸教育の内容について、函館大妻高等学校、共立女子大学、女子美術大学の所蔵作品と当時の書籍、雑誌資料から検討した。函館大妻高等学校の作品については、千代田キャンパスでは震災や戦災によって失われたと考えられる中~大型の刺繍作品など、大正時代末期の大妻手芸教育に関する資料を多数確認することができた。 資料整理と同時に、特に刺繍教育のカリキュラムに焦点をあて、当時の美術染織分野との関連について調査を進めた。明治~大正時代の刺繍教育について、現存する作品の比較を行ったところ、複数の学校で特定の図案が課題となっていたことが明らかとなった。図案の構図、用いられた刺繍技法、当時の教師陣の出身校などから、明治時代後期における女子刺繍教育のカリキュラムでは、京都を中心とする美術刺繍分野の強い影響を受けていたことを明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度である今年度は資料整理とカリキュラム検討を中心に行い、大妻女子大学、関連校の所蔵作品のデータベース化は予定通り進められた。また大正時代の刺繍作品については、複数の女子学校の作品を比較検討を行った。また当時の美術刺繍産業と女子教育が密接に関連していたことを明らかにすることができた。しかし他大学の博物館で予定していた追加調査が、大学業務の増加などによって十分に行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
他大学博物館とすでに連絡を取り、前年度実施できなかった博物館調査を早急に始める予定である。同時に追加の資料整理とデータベース化も進める。また昭和時代の手芸教育については各学校の関係者にインタビューも行い、データベースに反映する予定である。
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Causes of Carryover |
他大学の博物館調査が、先方とのスケジュール調整などにより十分に行うことができなかった。また合わせてデータ入力も行うことができなかったため、人件費を執行することができず、約6万円の次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
すでに共立女子大学博物館などと連絡を取り、夏季休暇を利用して調査を行うことになっている。また他博物館の調査も早急に行い、新たに収集した資料のデータベース化を行うことで、人件費を消化する予定である。
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[Book] Re-envisioning Japan: Meiji Fine Art Textiles2016
Author(s)
John Vollmer, Diane Genre, Asako Nakagawa, Takashi Hirota, Iwao Nagasaki, Susan Tosk, Hiroko T, McDermott, Sonia Ashmore, Will Chandler,
Total Pages
256
Publisher
5Continents