2017 Fiscal Year Research-status Report
動物福祉を含めた、動物園水族館における保全教育の実践と評価
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16K01202
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
並木 美砂子 帝京科学大学, 生命環境学部, 教授 (10711228)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 保全教育 / 動物園 / 動物福祉 / トレーニング / 抗酸化特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度研究実績は、大きく分けて、動物園での保全教育実践とその評価(公表含む)および、動物福祉の実践に関連した実践と評価となる。 前者は、第一に、平成29年5月に盛岡市動物公園で行なわれた「アフリカゾウ」「シロサイ」の保全教育プログラムとその評価であり、プログラム参加者の声および職員へのアンケート結果を参考に、実施者側として自己評価を行った。これらは、平成29年11月に台湾で開催された「アジア動物園水族館教育者会議」で成果発表を行った。第二に、平成29年12月に保全教育の評価に役立つ博物館教育理論の学習会および平成30年3月に動物園の保全教育の可能性についてコンゴ共和国で野生動物保全にかかわるスタッフをお呼びしての講演会を開催し、保全教育に求められていることを議論した。さらに、平成29年12月には、爬虫類両生類の保全研究にかかわる展示評価研究に、上野動物園と共同でとりくみ、とくに利用状況の改善への提案をおこなった。 後者は、第一に、飼育動物の福祉を考慮したトレーニングを、研究代表者の所属する大学の学科動物であるシバヤギに対して飼育担当職員とともに行った。第二に、動物園の飼育下ゴリラおよびホッキョクグマについて、飼料に含まれる抗酸化特性を測定するとともに、ゴリラにおいては飼料への嗜好性との関連を、ホッキョクグマにおいては血液の抗酸化特性との関連をみた。さらに、第三に、動物園の教育活動の一環で行われる「ふれあい」に用いられるモルモットの唾液内コルチゾル濃度測定により、ストレス測定研究にとりくんだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際に動物園での保全教育の実践が継続して行われており、実績報告も公表された。また、動物福祉の観点から、飼育下動物へのハズバンダリートレーニングを意識的に開始し、順調にトレーニングが進んでいる。さらに、動物園での飼育動物の健康管理上、飼料に含まれる「抗酸化特性」に着目した飼料分析、および、実際の採取状況とを関連させたこと、および血液中の抗酸化性との関連をみるための研究に着手できたこと。以上の諸理由による。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、昨年度の実績も含め、ハズバンダリートレーニングという動物福祉実現のとりくみと関連させた「ふれあい動物のストレスチェック」に注力し、現場で生かせるような、行動上のチェックリストを開発したい。そのリストの有効性について内外の意見を採り入れてより精度をあげたい。 動物園における飼育下動物の抗酸化特性に着目した飼料分析をすすめることにより、動物園での飼料選択において情報を有効利用してもらえるよう、報告を行いたい。 さらに、保全教育の内容や方向性について、動物園関係者や野生動物保全にかかわる専門家から意見をいただけるような、報告をかねた勉強会を開催したい。
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Causes of Carryover |
保全教育の勉強会開催(平成30年3月25日)において、会場費を約30000円と見積もっていたが、24000円でまかなえたことに伴い、次年度使用額が生じたため。
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Research Products
(2 results)