2016 Fiscal Year Research-status Report
都市施設等の博物館的機能展開による地域課題への対応と博物館学の拡張に関する研究
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16K01203
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
堀江 典子 佛教大学, 社会学部, 准教授 (70455484)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 都市施設 / 博物館的機能 / 地域課題 / 多機能化 / 展示教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は都市と都市施設へ博物館学を拡張し、地域課題への対応を目指すものである。博物館学はこれまで収集・保存、調査・研究、展示・教育といった機能を、主に博物館という機関の枠組みの中に求めてきた。しかしながら、各地で幅広い分野に及ぶ多種多様な都市施設等においても博物館的な取り組みが進み、都市や地域全体を博物館的に位置付ける動きや地域回遊型の芸術祭等の諸活動が活発化し、博物館と他の領域との重複が拡大している状況に博物館学は対応しきれていない。各地での博物館的取り組みには地域の抱える諸問題との関係があることが示唆されている。都市施設等における博物館的機能のあり方と、地域課題への対応を支援する博物館のあり方を探り、博物館学の都市施設及び都市全体への拡張の可能性と課題を示すことを目的としている。 平成28年度においては、これまでの研究成果を踏まえ関連する概念を整理したうえで、都市施設には当該施設がつくられるに至った本来の機能発揮という存在意義があると同時に、地域の共有財産としてのより広い機能に及ぶ存在意義があり、収集・保存、調査・研究、展示・教育、楽しみといった博物館的な機能を担うことができるという前提に立脚し、特に博物館的機能の中心といえる展示機能を有する都市施設を分野別・地域別にリストアップし地域性との関連を探った。そのうえで、個々の施設の取り組みの現状を把握するため、第1期調査として全国に分布する浄水場を対象としてアンケート調査を実施することとし、その準備として調査項目の検討、送付先のリストアップを行った。 また、地域に点在する都市施設や各種地域資源を含め地域全体を博物館的に位置付ける際にしばしば使われる「フィールドミュージアム」の現状把握を試み整理した。さらに、地域課題への対応の事例研究として京都市下京区下木屋町エリアにおける地域活性化の取り組みについて検討し報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究実施計画として予定していたのは、①概念整理、②事例の分野別・地域別リストアップ、③全体的状況の把握(アンケート調査)の準備、④分野別・地域別の事例調査対象の詳細状況把握、である。このうち、③については、28年度内にアンケート調査票等の印刷、第1期調査対象とする全国の主要浄水場約400箇所弱のリストアップを終え、29年度に入ってから速やかに調査票の発送できる準備を行った。また、④については、遠隔地の現地調査は次年度に先送りしたが、電話によるヒアリングなど状況把握につとめアンケート調査項目の検討に反映させることができたことから、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
第1期調査として実施した全国の主要浄水場へのアンケート調査票を回収し、回答の入力、集計、分析を行うとともに、ヒアリングを含む現地調査の対象とする事例(施設と地域)を選定する。調査結果については取りまとめた段階で報告書を作成し、回答協力施設に送付することによって、今後の取り組みの参考としてもらえるよう現場にフィードバックする予定である。 また、第1期調査の回収状況、調査結果などを踏まえ、今後の調査対象候補として想定していた下水道施設、防災施設、エネルギー施設などのうち、どの分野の施設を対象とするかを検討するとともに、調査項目についても、追加見直しを行う。
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Causes of Carryover |
翌年度への繰り越しが生じたのは旅費としての執行を予定していた予算である。平成28年度においては当初は現地ヒアリング調査のための調査旅費、及び学会での成果発表にかかる出張旅費を計上していた。成果発表については予定通り新潟大学での学会発表にかかった旅費を執行したが、調査旅費について、特に遠方への調査出張はアンケート調査結果の状況を確認してから実施する方が効率的であると考え翌年度に執行することにしたものである。 なお、電話によるヒアリングは必要に応じて行ったほか、近距離での調査や資料収集については個人研究費等を使い実施した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度においては、アンケート調査への回答協力施設のなかから特に充実した取り組みを行っている施設と地域、逆に取り組みが少ない施設と地域を、全国から複数エリア選定し、ヒアリングを含む現地調査を実施する予定である。
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Research Products
(5 results)