2017 Fiscal Year Research-status Report
都市施設等の博物館的機能展開による地域課題への対応と博物館学の拡張に関する研究
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16K01203
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
堀江 典子 佛教大学, 社会学部, 准教授 (70455484)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 都市施設 / 博物館的機能 / 浄水場 / ごみ処理施設 |
Outline of Annual Research Achievements |
第1期アンケート調査として平成29年4月から6月に全国の主要な浄水場375箇所を対象に、博物館のような機能(収集保存、調査研究、展示教育、楽しみ)にかかわる取り組みの現状を調査し、全体の60%にあたる225箇所から回答を得た。これによって、全体の約8割の浄水場が展示教育を中心に収集保存、調査研究、楽しみ(娯楽)を含めて何かしらの博物館的機能といえる役割を担っていることが明らかになった。特に、小学校4年生の社会見学の対応をはじめとして地域における重要な教育的役割を担っていることがわかった。一方で博物館としての位置づけや学芸員資格を持つスタッフはほぼなく、職員が本来業務の傍らで時間を捻出しながら対応している状況も明らかになった。なお、アンケート調査結果については報告書として取りまとめたうえで、協力いただいた各浄水場に送付し、現場において参考にしてもらえるようフィードバックしている。 平成30年2月には、第2期アンケート調査として全国のごみ処理施設約750箇所をリストアップして調査票を送付し、現在回答を回収中である。本調査においては第1期調査での回答内容等を踏まえ取り組みの必要性や課題認識等に関する設問を追加するなど調査票を更新して行っており、結果については集計・分析のうえ所属学会等で発表するとともに協力いただいた各ごみ処理施設にフィードバックする予定である。 また、現地調査として、博物館的機能といえる取り組みを行っていると考えられる都市施設の現場を訪問しヒアリングや資料収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施を予定していたアンケート調査について、第1期調査として浄水場調査を完了し、第2期調査としてごみ処理施設調査を遂行中であることから、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、第2期アンケート調査を実施中であり、本調査を確実に遂行することが当面の課題である。本調査における設問設計においては第1期調査において把握できなかった観点、具体的には各施設が実際に博物館的機能の導入の必要性についてどのように考えているか、また、導入にあたってのどのような問題点を抱えているかなど設問を加えている。これらを分析にどのように反映させることができるかを今後検討したい。さらに、既に回収した回答の一部には先駆的な取り組みを行っていることが伺える施設も散見されることから、今後これらの施設のヒアリング等が必要になると考えている。 また、一連の調査を通じて、都市施設が博物館的機能を持つことと地域力との関係をどのように示していくことが可能かについても考えてきたが、地域力の指標として何を用いることが妥当であるかが今後の課題となる。統計データ等を丁寧にみながら検討する必要があると考えている。
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Causes of Carryover |
論文が掲載された「地域学研究」第47巻第2号について、発行は2018年2月付であるが、学会事務局からの超過ページ代金及ぶ別刷り代金の請求が次年度になるため。
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