2017 Fiscal Year Research-status Report
提携の拡大・形成を導く利得配分としての新たな解概念とナッシュプログラム
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16K01233
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
藤本 勝成 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (50271888)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | PMAS / sub-balanced weight / 優加法性 / 凸性 |
Outline of Annual Research Achievements |
慶応義塾大学経済研究所主催のミクロ経済学ワークショップ(4月24日開催)において、ゲストスピーカーとして講演した「提携の拡大・形成を導く利得配分」に関する議論の中で、利得配分の枠組みの文脈における「Population Monotonic Allocation Scheme (PMAS)」という配分枠組みと当該研究の利得配分結果の強い関連性についての知見を得た。その時点で、この配分枠組みに関しての知識をほとんど有していなかったため、本年度は、これらに関連する既往の研究のサーベイ等にかなりの時間を費やした。これらのサーベイを通して、PMASにおいて実現される利得配分は、当該研究における「提携の拡大・形成を導く利得配分」の1つの極端なスペシャルケースとなることがわかった。つまり、PMASにおいて実現される利得配分は、提携の拡大・形成を導く利得配分であり、かつ、これらは、コアに含まれることが分かった(当該研究で議論している利得配分もコアに含まれることがすでにわかっている)。さらに、PMASにおいて実現される利得配分が存在するための必要十分条件が既往の研究(Norde and Reijnierse, A dual description of the class of games with a population monotonic allocation scheme (2002))によって明らかにされており、コアが存在するための必要十分条件との関連性により、当該研究における利得配分の存在性に関する定理を与えるという新たな重要な研究の方向性が得られた。これらの研究の方向性に関しては、「提携形成とsub-population monotonic allocation schemes」として、知能情報学分野の研究集会において口頭発表し、異なる視点からの意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」においても述べているように、本研究の中心的研究対象である「提携の拡大・形成を導く利得配分」と「Population Monotonic Allocation Scheme」の深いつながりが、議論を通して明らかになった。しかしながら、その時点で、このPMASという概念およびその関連研究については、十分な知識を有しておらず、これらについてのサーベイ等、情報収集・知識獲得に多くの時間を費やすことになってしまった。 当初の研究計画に沿ってという意味では、進捗がやや遅れ気味ではあるが、研究の幅・拡がりという意味では、大きく前進したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究を通して得られた新たな方向性としての「「提携の拡大・形成を導く利得配分」の存在性に関する数学的研究(balanced weightとsub-balanced weightの概念をつなぐ新たな組み合わせ論的な概念の提案)を進めるとともに、当初の目的の通り、提携形成・拡大プロセスをゲームの木(完全情報展開形ゲーム)として表現し、その均衡概念と当該研究における利得配分(ならびに「Population Monotonic Allocation Scheme」)との関係性について調査し、関連付ける。その上で、非協力ゲームの枠組みにおいて、協力ゲームの解を導くゲームの構造を提案していく予定である。この際も、最も極端な例としてPMASが重要な役割を果たすことが期待される。 一方で、当初予定していた、他の協力解(カーネル)との関係性について研究については、その優先順位を下げることになる予定である。
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