2016 Fiscal Year Research-status Report
変化する情報に柔軟に対応する生産在庫物流システムの構築
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16K01239
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| Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
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Principal Investigator |
中出 康一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50207825)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | サプライチェイン / 最適化 / マルコフ決定過程 / 発注 / 在庫 / 信頼性 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
多段の生産・在庫システムにおいて，需要の変化に対応して発注・生産量を変化させることは費用削減の点で重要である．この状況のもとで近似最適方策を求めるため，マルコフ決定過程として定式化した．近年論文で示された計算手法をもとに，本問題にあうようにアルゴリズムを改良し，近似最適方策を求めた．また，この結果をもとに，よく知られている基点在庫政策，拡張かんばん政策と比較をおこないその優位性を示した．
このアルゴリズムは，現実の複雑さの問題にはまだ対応できていないものの，需要変動に適切に対応して発注・生産を行うことでより費用のかからない生産が可能となり，本研究の基礎的成果といえる．また，部品工場と倉庫からなるサプライチェインについて引き取り間隔を変えながら発注量を定めるときの，各工場にとって最適な基点在庫量，発注量を求めた．各工程の最適政策と，サプライチェイン全体の最適な政策との差についても議論した．これらは理論的なモデルについての成果であり，その考察により最適発注との関係についても論じている．さらに，複数の部品からなり製品で，それらが同時に劣化するときの最適な修理取り替え政策について論じている．マルコフ決定過程の定式化により，費用関数のある条件のもとでの閾値政策の最適性を理論的に示すとともに，条件を満たさない場合はその性質が成り立たないこともあることを示した．この結果は工程内での工程管理にもつながると考えられる．さらに，需要に対してリードタイムを提示し，最適な在庫発注政策を求める問題について，顧客にとっての満足度と発注政策との関係を議論した．さらに，劣化する商品の最適な動的発注政策についても議論している．これらの成果は顧客を含めた生産工程，在庫，工程の状態等の変化に柔軟なサプライチェインの最適化に関係したものである．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
情報の変化に対する生産・在庫システムの最適運用については，マルコフ決定過程の近似アルゴリズム等を用いた最適政策を求めている．より現実的な発注政策，また工具管理等にもつながる取り替え問題も扱っており，さらに顧客の需要の状況，事前需要情報といった情報の変化にも対応しながら，サプライチェイン全体を最適化するための1つの段階を超えたと考えている．工場．工程間の生産在庫の最適化に確率計画等を用いた最適化についてはまだ緒に就いてばかりではあるが，本研究とは別の研究で災害対応での最適倉庫配置．輸送に関する確率計画問題を扱っており，今後ここで扱われた方法を多段生産・在庫システムにも適用できるのではないかと考えている．
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| Strategy for Future Research Activity |
マルコフ決定過程の（近似も含めた）最適化アルゴリズムを用いてさらに情報に柔軟に対応する生産・物流・販売に関する最適化を推し進める．
一方，システムは膨大になるため，現実の問題を扱うには限界がある．マルコフ決定過程の近年の応用では，推移確率やコストを未知のものとしてとらえ，日々の決定から状態の推移，発生する費用に関する情報を取り入れながら近似政策を更新するといった手法も用いられてきている．
これらの手法や確率計画法等の手法を用いながら，より大規模な問題について情報の変化に対応して最適な運用をする方策を求める手法について，理論面，計算アルゴリズム等のアプローチで検討をしていく．
また，顧客の需要と価格との関係を考慮した最適な価格設定と発注について，生産リードタイム，発注リードタイム等も考慮しながら理論的，数値的に求めていく．
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