2016 Fiscal Year Research-status Report
次世代型ソフトウェア開発のための統計的プロセス管理法に関する研究
Project/Area Number |
16K01242
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
山田 茂 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50166708)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 統計的プロセス管理 / 管理図法 / ソフトウェア信頼度成長モデル / フォールト検出率 / OSS開発 / アジャイル開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,次世代型ソフトウェア開発プロジェクトとして有望な,OSS開発とアジャイルソフトウェア開発を取り上げて,これらのプロジェクトに対する統計的プロセス管理のための管理メトリクスと,これを用いた管理図の設計に関する研究を行った.研究内容は以下のとおりである. (1)一般工業製品の統計的品質管理手法として多用される管理図による工程管理法と,ソフトウェア信頼度成長モデルを用いた管理図に基づくプロジェクト進捗管理法を想定し,統計的プロセス管理法を考えた.これらを次世代型ソフトウェア開発に導入するにあたり,開発進捗度単位としては時間(工数),実現規模,イテレーション等を,プロセスの管理メトリクスとしてはレビューでの欠陥検出率やテストでのフォールト検出率等を検討・整理した.開発進捗度単位として,OSS開発ではバグトラッキングシステムに対する報告時間を,アジャイル開発ではイテレーション数を選択した. (2)(1)で整理した開発進捗度と管理メトリクスの中でプロセス変動(特にプロセス平均)を記述するのに最適なものを抽出する.その結果,OSS開発ではバグトラッキングシステムに対する報告時間と瞬間フォールト発見率(単位時間当りの検出フォールト数)との関係を,アジャイル開発ではイテレーション数と開発規模当りおよびテストケース数当りの累積フォールト数との関係を見ることにした. (3)(2)で考察した関係を管理図法に展開した.OSS開発では,ソフトウェア信頼度成長モデルの瞬間フォールト発見率に対する回帰分析結果に基づいて,その信頼限界を用いて設定した.アジャイル開発では,3σ(シグマ)法に基づくu管理図をそのまま適用して設定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次世代型ソフトウェア開発プロジェクトとして有望な,OSS開発とアジャイルソフトウェア開発を取り上げて,これらのプロジェクトに対する統計的プロセス管理のための管理メトリクスを抽出し,これを用いた管理図を設計できた.これらに関する研究成果を以下の論文でも発表できた. [1] Shigeru Yamada and Masakazu Yamaguchi, "A method of statistical process control for successful open source projects and its application to determining the development period," International Journal of Reliability, Quality and Safety Engineering, Vol. 23, No. 5, pp. 1650018 (17 pages), October 2016. [2] 山田茂、「OSSプロジェクトデータに基づく統計的プロセス管理法とその応用に関する研究」,日本オペレーションズ・リサーチ学会誌,Vol. 61, No.10, pp. 666-667, 2016年10月. [3]紀伊良祐,山田茂,「アジャイル開発プロジェクトに対する品質評価法に関する一考察」,プロジェクトマネジメント学会2016年秋季研究発表大会論文集,pp. 185-186,2016年9月.
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Strategy for Future Research Activity |
次世代型ソフトウェア開発プロジェクトであるOSS開発とアジャイルソフトウェア開発に対して,プロセスの出力としてのレビューでの欠陥検出率やテストでのフォールト検出率などのプロセス平均(プロセス変動の平均的傾向)を減少化させて,これらを所定の目標値を含めたQCD目標を達成するための開発進捗度の統計的推測法について議論する.また,プロセス平均を許容限界内に収めるための運用技術についても考察する. さらに,次世代型ソフトウェア開発プロジェクトにおけるプロセス品質要因と,最終プロダクト品質をはじめとする代表的QCD指標とを関係づける.同時に,プロジェクト全体を可視化するようなマネジメント技術としての統計的プロセス管理法を提案する予定である.
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Research Products
(47 results)