2017 Fiscal Year Research-status Report
動的ネットワーク解析を用いた企業間ネットワークの形成と経営成果との相関の実証研究
Project/Area Number |
16K01243
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
伊藤 孝夫 広島大学, 工学研究科, 特任教授 (00280264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松野 成悟 宇部工業高等専門学校, 経営情報学科, 教授 (30290795)
坂本 眞人 宮崎大学, 工学部, 准教授 (50196101)
池田 諭 宮崎大学, 工学部, 准教授 (70282796)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 経営学 / 動的ネットワーク解析 / 脆弱性 / 効率測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
基本的には、スケジュール通りに文献を調査しながら、研究を進めてきた。当初の計画では、3重ネットワーク(取引、持ち株及び人的ネットワーク)の構築を目指していたが、データ収集の制約のため、取引と持ち株の2重ネットワークに計画の一部を変更した。実績としては、国際ジャーナル等に計4本の論文を発表し、国際学会においても計4本の論文を発表した。特にICAROBの学会誌で発表した「Fragility in Network Systems: An Empirical Investigation」では、ネットワーク組織の特徴の一つである脆弱性の発生プロセスをはじめ、マツダ企業グループの構造変化による影響と企業の経営成果との関連を分析し、中心性の高いネットワークにおいては脆弱性と経営成果とは正の関係を有するのを明らかにした。また、2重ネットワークの入出力関係及び、状態遷移のプロセスをはじめ、効率や有効性測定やケイパシティ解析及びこれらの指標とマツダ企業グループの経営成果との関連分析を行った。効率の測定については、DEA(データ包絡分析)を用いた。「Measuring Efficiency using Dynamic Network-Based Data Envelopment Analysis」の論文では、効率とネットワークの関連をはじめ、ネットワークにおける企業間の戦略的な関係を析出し、企業の取引はその数量の大小よりも、企業間の取引の変化がネットワーク全体に及ぼす影響によって決定されること、効率に関する入出力の関係や取引の状態遷移と効率の関係を解明した。しがって、来年度の時系列的な傾向分析のために基礎的研究成果を提供することができ、動的ネットワークを用いて、本研究の研究目的である「企業グループのネットワーク生成と経営成果との相関」関係の解明という目的を達成したと言えよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本的には、スケジュール通りに進めている。29年1月から12月まで、SIRモデル等を用いて、2重ネットワークの発生プロセス、伝播速度等を測定するため、その計算プログラムを開発し、マツダ企業グループの構造変化による影響と企業の経営成果との関連を分析した。また、2009年度と2012年度の基盤研究(C)で得られた結果と3次元空間における中核企業と非中核企業の戦略的行動パターンや海外の先行研究との比較研究を実施した。さらに、昨年の8月以降SDSsモデル等を用いて、2重ネットワークの入出力関係及び、状態遷移のプロセスをはじめ、効率や有効性測定やケイパシティ解析及びこれらの指標とマツダ企業グループの経営成果との関連分析を行った。ICAROB等の国際学会で発表したほか、中国の河南理工大学と北京航空航天大学等の招待を受けて、計3回にわたって、本研究との関連成果の発表を行った。持ち株データや企業の経営成果である売上高または経常利益等のデータ収集をはじめ、2重ネットワークのデータの多くはすでに完了したので、引き続き、取引と持ち株の2重ネットワークの時系列的分析を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年に発表した論文「Measuring Efficiency using Dynamic Network-Based Data Envelopment Analysis」と「Fragility in Network Systems: An Empirical Investigation」は動的ネットワークの発生プロセスを解明することができたため、マツダ企業グループの構造変化による影響と企業の経営成果との関連を分析することができるようになった。現在、中核企業と非中核企業を検証し、NPDモデル等の調査を行っている。これから、動的ネットワークの構築をはじめ、ネットワークの変化を時系列的に傾向分析を行いながら、モデル間の計算結果を比較し、定性分析と計量分析の融合を目指して、新たな理論開拓を試みる。
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Causes of Carryover |
国際学会のため、海外渡航予定していたが、日本で開催した国際学会に参加し、発表したため、一部の経費が余っている。余っている経費は、次年度海外で開催される予定の国際学会に使用する。
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