2017 Fiscal Year Research-status Report
TPP時代のアジア・サプライチェーンにおける経済性,環境負荷,品質の多目的評価
Project/Area Number |
16K01262
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
石垣 綾 東京理科大学, 理工学部経営工学科, 准教授 (50328564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 哲男 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (90334581)
筧 宗徳 福島大学, 共生システム理工学類, 講師 (00453655)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | サプライチェーンマネジメント / 資源循環 / 不確実性 / シミュレーション / 逐次最適化 / 経営工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,資源循環と低炭素化を考慮したアジア国際分業型サプライチェーンにおいて,経済性,信頼性,品質,環境負荷を「見える化」し,様々なシナリオに対して多目的評価を行なうことを目指している.そこで,本年度は主に基本モデルの作成後,需要モデル,リサイクル・リユース品の回収モデル,品質モデルの構築を行い,サプライチェーンの全体最適化へ向けて段階的にアルゴリズムを開発した.本年度の主な成果は以下のとおりである.
1.アジア各国の品質や環境負荷を考慮したグローバルサプライチェーンの基本モデルの構築,および関税とTPPを考慮した原材料価格の変化がアジアを含むグローバルサプライチェーン・ネットワークに及ぼす影響を調査した.関税とTPP考慮したグローバルサプライチェーン・ネットワークは整数計画法としてモデル化され,原材料価格の変動が及ぼす影響が調査された. 2.製造・再製造制御システムにおいて,製品価格に依存した需要モデルと過去の需要量の影響を反映させた回収量モデルを同時に考慮することによって,回収量の時間変化モデルが設計された.また,品質や環境負荷に対する制約,さらにカニバリゼーション効果を考慮したもとで,製造・再製造システムにおける総利益を最大化するための最適生産戦略を検討した. 3.製品の回収・分解から部品の取り出し・回収を行なうケースにおいて,需要地や生産地の違いを考慮したネットワーク設計を行なった. 4.不確実性のある環境下において生産・物流スケジューリングを逐次修正する方法について検討した.生産工程では外部要因の変化に対してリバランシングを行なう方法を提案し,Best Paper Award of Practiceを受賞した.また,生産機械や保管棚の共通化によって変動に対して柔軟性の高いシステムが構築された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アジア国際分業型サプライチェーンの基本モデルの設計が予定よりも早く進み,平成30年度に予定していた多目的最適化に前倒しで着手することが可能であったため.具体的には,
1.カニバリゼーション効果をモデルに導入することによって,新製造品と再製造品の価値を区別して取り扱うことが可能となり,様々なケースに対して最適化が可能となった. 2.ICPR2017(ポーランド,2017年8月)にて発表した際に,海外協力者のProf. Surendra M. Gupta (米国ノースイースタン大学教授,環境調和型生産の第一人者)とディスカッションしただけでなく,Infineon TechnologiesやBerlin Institute of Technologyにてワークショップでの発表やディスカッションを行なった. 3.逐次最適化の基本となるアルゴリズムの開発を行い,さらに事例に適用したところ,その一部が認められ賞を授与された.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として,シナリオをもとにした分析を行い,将来モデルおよび製品付加価値を検討する.具体的には,
1.事例をもとにしたシナリオの作成,およびグローバルサプライチェーン・ネットワークにおいて国際分業レベルごとに評価を行なう. 2.複数の意思決定者における多目的最適化手法の確立,および実装を行なう. 3.すでに4月上旬にNEDSI2018(米国)にて発表,および海外研究協力者とのディスカッションを行なっている.今後は春秋の国内外での発表に合せて研究協力者とのディスカッションが予定されており,広く情報収集を行なう.
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Causes of Carryover |
(理由)当初3月に予定していた海外研究協力者のProf.Surendra M. Guptaとのディスカッションが,同時に参加・発表を予定していた学会の開催時期が2018年4月になったことから,渡米が次年度になったため,打ち合わせのための旅費を繰り越した.
(使用計画)すでに,2018年4月上旬に渡米し,NEDSI2018 (米国)で発表,研究協力者とのディスカッションを実施しており,繰り越した予算は使用済みである.よって,次年度分として請求した助成金は当初の計画通りに使用する.
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Research Products
(13 results)