2016 Fiscal Year Research-status Report
多目的逐次近似最適化における効率的学習法とその応用に関する研究
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16K01269
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
尹 禮分 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (10325326)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | メタモデル / 計算知能 / 逐次近似最適化 / 工学設計 / 多目的最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
構造物をシステムとしてモデル化し、構造物に加わる荷重あるいはこれを支持する部材の強度等の不確定因子を考慮した上で、構造物の安全性および信頼性の立場から合理的に設計することは非常に重要な問題とされている。最近は単なる工学設計問題ではなく、製造ならびに後の維持保全も含めた企画から廃棄までの全期間が構造システムにおける管理問題として見直されている。また、構造システムが所定の機能を維持するための様々な技術と、構造システムの評価法に関する技術が進歩してきている。従来の方法では、構造システムの安全性および信頼性を評価するため、故障や破損のデータが一つの確率分布に従うと仮定し、統計的解析によって破損確率を予測していた。破損の限界状態関数から破損確率を計算することになるが、限界状態関数の形は一般に不明であり、分かるとしても複雑な非線形関数であるため、破損確率の計算は非常に困難である。便宜上線形式で限界状態関数を近似することが多く、結局どのような関数形で近似するかによって信頼度の評価は変わることもある。すなわち、効率よくより正確な信頼性評価を行うためには、いかに精度のよい限界状態の近似関数を求められるかが重要なポイントになる。そこで、今年度は、サポートベクトルマシンやRBFニューラルネットワークにおいて学習性能および計算効率を向上させるために方法を提案し、既存の方法と比較することで開発手法の有効性の検証を行った。さらに大規模のビックデータに対する学習方法の効率化をはかるために、既存法の改良を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
工学設計などの実問題では、目的関数が設計変数の陽な形として与えられないことが多く、構造解析、流体解析、熱解析等の数値解析や実際の模型を作ってはじめて目的関数の値が与えられることが多い。このような問題においては必要な解析や模型試作の回数をできる限り少なくして、かつなるべく真の解に近い解を得ることが望まれている。このような目的を果たすために平成28年度の研究では、未知の目的関数の形を精度よく予測するために、サポートベクトルマシンおよびRBFネットワークに対する学習性能および計算効率を向上することができ、大規模のデータ集合に対しても適用可能であることを検証した。
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Strategy for Future Research Activity |
設計者の多様な要求を同時に満足させなければならないという状況の下で、多様な選好にあう代替案をどのようにして求めるか、得られた代替案の中から最終的にはどれを選べば納得いくのかは、意思決定する際に非常に重要なことである。そこで、今後の研究では、まず各種の指標間(たとえば、設計コストと製品の性能)の関係を明らかにするために、評価指標の効率曲面(トレードオフ曲面またはパレートフロンティア)を求める方法を提案していく予定である。また望んでいる製品の性能に達するには、どれだけのコストが必要であるか、逆に現在でのコストならば、どの程度の性能をもつ製品が設計できるか、などが把握できることも示していく。その後、それまでに得られた結果を具体的問題に適用する。一例として、片持ち梁の設計を取り上げる。片持ち梁の設計は、先端にかかる荷重に対するせん断応力、応力、変位、曲げ応力から構成され、適当な例題と考える。また、圧力器の設計、ターボポンプの最適設計などに適用し、提案手法の有効性を検証していく。実用レベルでの活用ができるよう、これまでに得られた研究成果を基盤として、総合的な意思決定サポートシステムの構築を目指す。さらに、現場の開発者や設計者などの経験を持つ研究者からの助言により、一層現実状況に適合するシステムを構築し、消費者の選好が反映できるようなシステムに仕上げ、国際会議やシンポジウムなどにおいて発表するとともに、成果を学術雑誌に投稿し、理論的面からの検証を行っていく。
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Causes of Carryover |
2015年度9月から2016年度9月までの間、本務校での在外研究でカナダに在住したため、学会発表や研究打ち合わせなどに伴う出張旅費がかからなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
大規模のデータ処理が可能な高性能ワークステーションを1台購入する予定であり、前年度で得られた研究成果の報告のための学術会議や国際共同研究(打ち合わせ)への海外出張を計上している。
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Research Products
(4 results)