2016 Fiscal Year Research-status Report
国際海運網におけるホットスポットの人為・自然災害リスク・マネジメント手法の開発
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16K01272
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Research Institution | National Institute for Land and Infrastructure Management |
Principal Investigator |
赤倉 康寛 国土技術政策総合研究所, 港湾研究部, 室長 (70462629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 富博 国土技術政策総合研究所, 港湾研究部, 部長 (10356040)
小野 憲司 京都大学, 防災研究所, 特定教授 (10641235)
佐々木 友子 国土技術政策総合研究所, 港湾研究部, 主任研究官 (20642010)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 国際海運 / 人為災害 / 経済損失 / コンテナ輸送 / 代替ルート / 港湾BCP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国際海運網におけるホットスポットである重要海峡・運河・港湾の災害リスクを定量的に評価し、そのマネジメント手法を開発するものである。研究は、①国際海運網のホットスポットの機能停止・低下の状況分析、②ホットスポットの機能停止・低下の経済被害の評価手法の確立、③人為・自然災害リスクに対するホットスポットの輸送活動の脆弱性評価、④リスク・マネジメント計画・政策の提案・評価の4つのパートで構成されている。 平成28年度は、2014~2015年の米国西岸港湾の労使交渉に伴う混乱状況について分析し、その経済被害の評価を行い、対応策の検討を行った。混乱状況については、スローダウンや夜間荷役中止等により当該港湾での荷役効率が平常時の約4割まで低下し、大量の沖待ちが発生し、東京湾→米国西岸港湾のコンテナ輸送の所要日数がピーク時には平常時に比べて2週間も増加したことを明らかにした。これに対応するため、日本の自動車メーカーは航空輸送を、韓国の自動車メーカーは東岸港湾を主要な代替ルートとしていた。経済被害の定量化については、輸送取りやめ量、東岸港湾・航空輸送へのシフト量を推計し、コンテナ貨物の価値及び時間価値の推計結果等を用いて、米国及び東アジア諸国合計の損失額は約70億ドルと推計した。対応策としては、荷主サイドでは、効率性が落ちない範囲で、平常時より代替ルートを利用しておくこと、港湾・船会社サイドでは、港湾の相互補完・代替協定を提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際海運網のホットスポットの人為・自然災害の例として採りあげた2014~2015年の米国西岸港湾の労使交渉に伴う混乱については、その混乱状況の分析、経済被害評価、対応案の策定まで行っており、当初の予定通りの進捗をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、国際海運網のホットスポットの人為・自然災害について、他の事例を採りあげて同様の分析を行い、その結果を用いて、国際海運網の途絶や停滞を起因とした経済被害の評価手法を構築する。さらに、災害のリスク・シナリオ化を試み、リスク・マネジメント計画・政策の提案に繋げる。
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Causes of Carryover |
出張旅費や物品購入等において出た端数を有効活用するために、次年度に使用することとなったもの。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度の研究経費と合わせて、効率的に執行する計画である。
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