2017 Fiscal Year Research-status Report
マスカスタマイゼーションを考慮する生産管理のシステム化に関する検討
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16K01275
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Research Institution | 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター) |
Principal Investigator |
平野 健次 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター), 能力開発院, 教授 (30648928)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多様性 / 可視化 / ものづくりマスターデータ / 部品表 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年,29年の計画と,平成28年度の研究実績から,研究計画書①の用途・使用条件を用いた多様性管理の方法と,研究計画書②の多様性管理を考慮するマスターデータ構築方法のプロトタイプの設計・開発を継続して実施した.①についてはインタビューの結果をBSTMで分析し,製品の多様性と仕様目的の関係などを見出し,研究成果を発表すると共に,これらを②のプロトタイプに実装することにした.②については,平成28年度に完成したプロトタイプの原型をもとに,FBOMのマスターデータ作成を支援するための可視化ツールを開発し,平成29年度の後半にプロトタイプを完成させた.特に平成29年度の重点項目として,多様性を管理する用途・使用条件の可視化表現を実装し,データ構築時の画面操作性を大幅に向上させる工夫を行った.その結果,可視化ツールを用いたマスターデータの構築方法は,可視化ツールを使用しない従来の生産管理システムで行う構築作業と比較して,作業効率の大幅な改善が認められた.この成果については,研究論文として学会誌に投稿中である.また,BOPとEDSを用いたスケジューラの提案と適用の結果を通じて,可視化で扱うマスターデータの範囲を明確にし,マスターデータの利用までを含めた多様性管理の枠組みについて検討した.さらに,FBOMで扱う可視化の範囲を拡大するために,バイパスラインに関する研究を通じて,分岐・合流プロセスを実装するための検討を行った.最後にプロトタイプの改善に反映するために,マスターデータを構築する際に発生するレビュー作業の人的ミスに着目し,仕様変更に起因するミス発生の構造についても検討した.成果を展開するために必要な教育方法の研究も行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究が順調に推移している理由は,研究実績の概要で記述したとおり,計画書の①と②に関する研究が予定どおり進行している点が挙げられる.さらに今年度は,当初予定した内容より,さらに先に進めるための準備や研究も行えている点も挙げられる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度後半に発表した仕様目的に関する①の研究成果を,引き続き②のプロトタイプへ反映すると共に,平成29年度末に完成したプロトタイプを用いて,企業での試行を開始し,多様性管理を行う際の可視化ツールの有効性についてアンケートやヒアリングによる評価を行う.可視化ツールを使用すると,マスターデータの作成工数が大幅に低減できる点については平成29年度に研究を行い,研究論文として学会誌に投稿中であることから,平成30年度については,企業への適用による評価を通じてプロトタイプの改善を続ける.最後に,研究のまとめとして,研究成果の企業実務や大学教育での利用を拡大する.製品多様性と仕様目的,用途使用条件などの諸概念については,マス・カスタマイゼーションを考慮する際の重要な要素となるため,研究計画書③の学習教材への体系的な反映を行う.またその実践例として,開発した可視化ツールの企業への適用列を用いることにする.具体的な教材化については,教育方法の研究として進めている総合的ものづくり人材育成プログラムを活用し,企業向けの研修や,大学院や学部の科目で活用できるようにする.
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Causes of Carryover |
当初の計画では3年目の予算を少なく見積もっていたが,研究をまとめるための予算を若干増やす必要があると考え,22万円程度を次年度に支出することにした. 次年度の使用計画として,本研究の評価を実施する際に発生するプロトタイプの修正に関わる人件費,評価をお願いする企業への訪問や,研究成果を学会で発表するための旅費などを予定している.
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