2016 Fiscal Year Research-status Report
最適な表面性状の高温固体面への液滴衝突でミストを生成・輸送する新規消火方法の開発
Project/Area Number |
16K01279
|
Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
廣田 光智 室蘭工業大学, 工学研究科, 准教授 (50333860)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 間接消火 / 二次微粒化 / 蒸気可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,高輝度連続発振レーザとハイスピードカメラを用いて,水滴が固体表面へ衝突する挙動を時系列に可視化することが目標であった.これにより高温固体表面での水滴の衝突・飛散・蒸発・輸送挙動を把握し,後流の火炎の消火との相関を調査した. まず,蒸気の生成と輸送過程を知るために,消火剤液滴に蛍光粒子であるエオシンYを混入させて,532nmの連続発振レーザシート光により二次元で可視化した.あらかじめ蛍光粒子混入による蒸発と消火特性の違いが出ないことを確認した.高温固体表面への衝突で微粒化した消火剤は,レーザ光を受けて540nmで蛍光発光する.これをバンドパスフィルタで選択的にハイスピードカメラで撮影した.得られた時系列の挙動から,液滴衝突直後に二次微粒化した微細な液滴が飛散しこれによりまず消炎すること,その後発生する蒸気群が徐々に火炎基部付近を覆い窒息状態にすること,の二つが成立したときに完全に消火することがわかった.そこで二次微粒化に関連するパラメータとして衝突速度,衝突面性状,液滴への二酸化炭素溶存度を変化させた.固体壁面が粗さを有する場合,直径4mm程度の水滴では消火確率が向上する最適衝突速度が2.7m/s程度とわかった.ただしこれは液滴径の違いで傾向が変わる.固体表面性状は,算術平均粗さが35μm程度で空隙率が5%弱の条件で,消火可能な温度範囲が高温側に拡大し,消火確率も向上することがわかった.また液滴へ2020mg/L以上の二酸化炭素を溶存させた場合,二次微粒化が促進して消火確率が向上することがわかった.今後は,衝突速度との関連を考慮して液滴径を変化させた場合の最適条件,衝突角度の変化による消火に有効な位置に関して継続的に実験が必要である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究実施計画では,平成28年度は四つの方針を考えていた.即ち,1)液滴に蛍光粒子を入れた場合の蒸発,消火実験を行い,粒子混入の影響を把握する,2)2W程度の高輝度連続発振レーザをシート光で照射し,1)の蛍光粒子を入れた液滴の蒸発挙動をバンドパスフィルターとハイスピードカメラで撮影する,3)液滴径,衝突角度,濡れ性などの液滴性状を変化させて蒸発消火実験を行い最適な条件を決定する,4)補足と次年度準備である.このうち1),2)に関しては概ね完了し,3)については当初予定にない微粒化促進の項目も増やして検討し,現在継続中である.4)は,この3)の継続分を含めて準備中である.
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究実施計画どおり,平成29年度は発生したミスト群の挙動を三次元で捉え,消火と関連づけることが目標で,四つの方針で進める.即ち,1)二台のハイスピードカメラを同期し,正面と側面から同時にミスト群の三次元挙動を時系列に撮影する,2)ミスト群の消火過程を撮影し,その三次元的に広がりから一滴の水滴で消火できる範囲を把握する,3)前年度の方法をもとに,液滴径,衝突角度,衝突速度,表面性状などを変化させて蒸発・消火実験を行う,4)各項目の進捗状況を随時把握するとともに,次年度以降の実験準備,補足実験等につなげる,である.さらに年度初めに前年度の検討事項である液滴径と衝突角度の変化の実験を継続的に行う.また平成30年度は複数液滴を広範囲に連続的に滴下して消火できる火炎範囲を拡大することが目標で,以下の方針で進める.1)液滴4系統を同時に滴下して,消火範囲が最も広くなるようそれぞれの設置位置を最適化する,2)これまでの結果をふまえて連続滴下によるミスト群の連続発生限界の測定と,後流側へ大きいな火炎領域を消火する場合の条件を決定する,3)各項目の進捗状況を随時把握し,補足実験等を行い,まとめる.
|
Causes of Carryover |
物品,消耗品の値引きにより生じた
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降の消耗品として使用予定.
|